(平成19年4月2日〜7月1日)
【平成19年第1四半期】
1.今回の報告期間は2007(平成19)年4月2日〜2007(平成19)年7月1日までの3か月である。法定報告に基づく新規HIV 感染者報告数は270件(うち男性251件、女性19件。前回報告227件、前年同時期248件)で、過去最高である。
一方、新規AIDS患者報告数は110件(うち男性103件、女性7件。前回報告81件、前年同時期106件)で過去2位である。
2.感染経路別に見ると、新規HIV感染者では同性間性的接触によるものが182件(全HIV感染者報告数の約67%)と最も多く、そのうち175件が日本国籍男性であった。また、異性間性的接触による新規感染者報告数は54件(全HIV感染者報告数の20%、うち男性42件、女性12件)である。
一方、新規AIDS患者では同性間性的接触によるものが45件(全AIDS患者報告数の約41%)、異性間性的接触によるものが38件(全AIDS患者報告数の約35%、うち男性35件、女性3件)である。
年齢別では、新規HIV感染者は20〜30代が多数(約76%)を占め、新規AIDS患者は30〜50代と広く分布している。
要約すると、感染者・患者とも92%以上を男性が占め、その中でも同性間性的接触による感染が約60%を占めている。
3.2007(平成19)年4月〜6月末までの保健所におけるHIV抗体検査件数は30,114件、自治体が実施する保健所以外の検査件数は7,029件、保健所等における相談件数は52,008件となっており、いずれも前年同時期より大幅に増加した。
4.2007(平成19)年1月〜6月までの献血件数(速報値)は2,456,788件(前年同時期速報値2,480,063件)で、そのうちHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数は40件(前年同時期速報値48件)であった。10万件当たりの陽性件数は1.628件(前年同時期速報値1.935件)で、前年より減少した。
5.新規HIV感染者報告数を感染経路別に見ると、男性同性間性的接触は依然半数を超えている。また年齢別では、20〜40代にHIV感染が広がっているものの、前年と比べて40代以上のAIDS患者の増加傾向を認めた。また、検査・相談件数の増加については、昨年のHIV検査普及週間および世界エイズデー期間前後に大幅に増加した後も高い水準で維持したまま、2回目となった本年のHIV検査普及週間前後にさらに大幅に増加した。HIV検査普及週間に限れば、2005(平成17)年同時期と比較すると検査件数が約2.7倍、相談件数が約2.1倍と大きく伸びているだけでなく、6月の月間検査件数、相談件数は昨年大きく伸びた12月の検査件数よりも上回っている。これらのことを合わせて考えると、利用者の利便性に配慮した検査・相談事業による検査体制の整備について一定の成果が認められる。
一方で、検査・相談件数が減少に転じている自治体もあり、今後も全国的に検査・相談件数の増加傾向が持続するのか注視していく必要がある。
6.各自治体においては保健所等を中心に、さらに利用者の利便性(夜間・休日・迅速検査)に配慮した検査・相談事業を推進し、予防に関する普及啓発に努めることが重要であり、HIV感染の早期発見による適切な治療の促進と感染拡大の抑制に努める必要がある。検査件数の増加に伴いHIV感染者・AIDS患者の報告が増加していることから、地域の実情に応じて告知後の支援・相談および医療提供体制のさらなる充実を図ることが急務である。
また、国民はHIV・AIDSについての理解を深め、身近な問題として積極的に予防に努めるべきである。早期発見は、個人においては早期治療、社会においては感染の拡大防止に結びつくので、HIV抗体検査・相談の機会を積極的に利用していただきたい。