2007年高知県におけるヘルパンギーナ患者からのA群コクサッキーウイルス6型(CA6)分離状況

(Vol.28 p 263-264:2007年9月号)

2007年高知県のヘルパンギーナの定点当たりの届出数は、第27週まで例年同様(1.0以下)で推移していたが、第28週から2.0を超え、第29週には3.1と、過去最高であった昨年の定点当たりの届出数4.1〜4.2(第28週〜30週)に近づいた。地域別にみると、高知市、中央西、高幡地域での増加が認められた。2007年、ヘルパンギーナと診断されて病原体検査定点から送られてきた検体は4〜5月3検体、6月上旬〜7月20日の間に18検体であったが、その患者年齢構成は2歳以下が8割を占めている。

当所でのヘルパンギーナ、手足口病の原因ウイルス分離はVero、HeLa、FL、LLC-MK2、RD-18Sの5種の細胞、RT-PCRおよび哺乳マウスを使った中和試験によって行っている。

今回はいずれの細胞にも明確なCPEが確認できなかったが、RT-PCRによって咽頭ぬぐい液中のA群コクサッキーウイルス(以下CAと略)を確認できたので、この検体に抗生物質を添加し遠心分離した上清50μlを国立感染症研究所からの抗血清数種各50μlで中和したものを哺乳マウス皮下に接種したところ、抗CA6血清で中和したものだけに発病阻止が起こり、CA6と同定できた。

7月20日までに搬入されたヘルパンギーナ患者の検体21検体中、RT-PCRで陽性となったものは17検体で、そのうち7検体を哺乳マウスを用いて中和試験を行ったところ、7検体すべてがCA6であった。残る10検体については現在同定中である。なお、RT-PCRで陰性となった4検体についても哺乳マウスに接種を行い、ウイルス分離中である。

また、今年の手足口病に関しては、Vero細胞による中和試験で2月までにエンテロウイルス71型を2検体同定しているが、6月以降に搬入された検体の中には細胞にCPEを示さず、RT-PCR陽性であるものが2検体ある。2005年に高知県ではCA6によるヘルパンギーナと手足口病の同時流行を経験しており、同定を急いでいる。今後の動向に注目したい。

高知県衛生研究所
戸梶彰彦 千屋誠造 細見卓司 谷脇 妙 松本道明 大野賢次 福永和俊

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