2006年に札幌で開催された衛生微生物技術協議会においてノロウイルスのレファレンス委員会の設置が承認された。2006年10月からのノロウイルスの流行は厚生労働省が感染症発生動向調査を開始して以来最大規模の大流行になった。そこで、ノロウイルスレファレンス委員会では、2006/07シーズンに全国で流行したノロウイルスの遺伝子配列を決定し、疫学調査を実施することとした。調査方法は全国の衛生研究所で実施したRT-PCR(特に、COG2F/G2-SKR、G2-SKF/G2-SKR)産物の精製と遺伝子配列の決定を民間の業者に依託して行った。検体数は1衛生研究所あたり約16検体、検体の選定はなるべく散発例と集団発生例を組み合わせることとした。調査は2007年1月下旬〜2月に実施し、得られた総検体数は951であった。
参加衛生研究所の数と検体数は表1に示した。解析不能の検体数は解析を行った検体の約5%であった。遺伝子型とその遺伝子型に属する検体数は表2に示した。その結果、解析したRNAポリメラーゼのすべてと構造蛋白の大部分がGII/4に属していた。GII/4は少なくとも4個のクラスターに分けられたが、2006/07シーズンに全国各地で流行したノロウイルスの主体は2006〜2007年冬期にEU1)や香港2)(5月)で流行したGII/4のvariant typeであることが判明した。
このプロジェクトに参加していただいた、多くの衛生研究所に深謝いたします。
参考文献
1)Siebenga JJ, et al ., J Virol 81: 9932-9941, 2007
2)Ho ECM, et al ., J Clin Microbiol 45: 2205-2211, 2007
衛生微生物技術協議会ノロウイルスレファレンス委員会
(文責:国立感染症研究所 松野重夫 岡部信彦)