2007/08シーズン初のインフルエンザウイルスAH3亜型分離―愛知県

(Vol. 28 p. 324-324: 2007年11月号)

愛知県では、2007年9月に今シーズン初めてのインフルエンザウイルスを分離した。第1報は県内A市内小児科医院より、複数患者発生の情報が保健所に入った。患者発生は9月初旬に始まり、5家族10人の発症に及んだ後、終息したとのことである。このうち2家族の患者2名の咽頭ぬぐい液検体が、インフルエンザウイルス分離同定の目的で愛知県衛生研究所に搬入された。患者の概要を表1に示す。

2名から採取された咽頭ぬぐい液各1検体をMDCK細胞に接種し、2検体(2/2)からインフルエンザウイルスを分離した。

分離されたウイルス2株について、国立感染症研究所から配布された2006/07シーズン用のキットを用いて赤血球凝集抑制(HI)試験(0.75%モルモット赤血球を使用)により型別を行った。その結果、抗A/Hiroshima(広島)/52/2005 (ホモ価160)に対しHI価160、抗A/New Caledonia/20/99 (同160)に対しては<10であり、AH3亜型と同定された。

またNA遺伝子についてPCRによる型別を実施した結果、N2遺伝子が検出された。以上より、分離ウイルス2株ともインフルエンザウイルスA/H3N2亜型と同定した。

今回分離したウイルスのHA抗原性は、HI試験の結果からは2006/07シーズンワクチン株類似と考えられる。愛知県における2006/07シーズンのインフルエンザAH3亜型流行は、例年に比較して小規模に終わっており、今シーズンの発生動向に特に注目している。

愛知県衛生研究所
秦 眞美 田中正大 伊藤 雅 川口まり子 山下照夫 小林慎一 皆川洋子

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