千葉県では、2007年第41週(10/8〜10/14)以降に採取された検体から10月末現在AH1亜型のインフルエンザウイルスが7株分離されている。患者は5〜42歳で年齢の偏りはない。
千葉県感染症情報センターによると、千葉県は第42週(10/15〜10/21)において、定点当たり患者報告数は0.29で、過去5年間では最も早い立ち上がりをみせている(図1)。今回ウイルスが分離された検体の採取地域は、県東部の山武健康福祉センター(保健所)管内、および県中央の千葉市であるが、流行は県内に拡大の様相がみられる(図2)。
ウイルス分離は、HeLa細胞を用いてトリプシン添加の無血清培地による同時まきこみ法で行った。分離されたウイルスは、国立感染症研究所から配布された2007/08シーズン用の同定キットを用いて、赤血球凝集抑制(HI)試験(0.75%モルモット赤血球使用)により同定した。その結果、抗A/Solomon Islands/3/2006(ホモ価640)に対して3株がHI価20、4株がHI価40であり、その他の抗A/Hiroshima(広島)/52/2005(同1,280)、抗B/Malaysia/2506/2004(同640)、抗B/Shanghai(上海)/361/2002(同640)に対してはいずれも<10を示し、AH1亜型と同定した。
今回分離されたインフルエンザウイルスAH1亜型の抗原性は、2007/08シーズンのワクチン株であるA/Solomon Islands/3/2006から、HI試験で16〜32倍の違いが見られ、ワクチン株とは大きく異なっていた。今後の発生動向に注意する必要があると考える。
千葉県衛生研究所
小川知子 丸ひろみ 吉住秀隆 岡田峰幸 篠崎邦子 小倉 誠 斉加志津子 三瓶憲一