中国でのB型肝炎予防接種の進展、1997〜2006年

(Vol. 28 p. 356-356: 2007年12月号)

中国ではB型肝炎ウイルス(HBV)感染は疾病および死亡の主要な原因である。人口の約60%はHBVに感染した既往があり、中国人の9.8%はHBVの慢性感染の状態か、肝疾患による夭折の危険性がある。毎年、推定で26.3万人の人々がB型肝炎に関連する肝臓癌もしくは肝硬変により亡くなっている。これは世界中のB型肝炎関連死亡の37〜50%を占めている。HBV感染のほとんどは新生児期か小児の早い時期において起こるので、感染は慢性化しやすい。そして、出生直後の新生児に対して予防接種を行うことが慢性感染を防ぐための鍵となる戦略である。中国では、1992年に乳児のB型肝炎予防接種が導入され、2002年に定期予防接種に組み込まれた。初回接種は生後24時間以内、2回目は生後1カ月、3回目は生後6カ月のように計画されている。

1999年と2004年に実施された全国的なワクチン接種率調査の結果によれば、1997年生まれの者と2003年生まれの者を比較すると、初回接種は29.1%から75.8%へ、3回接種については70.7%から89.8%へと増加した。また、経済的にワクチン接種を受けることが困難であった西部および中央地域の人々には、2002年より中国GAVIアライアンスの協力により無料のワクチン接種キャンペーンが実施された。

今後については、中国は2010年までに5歳未満の小児の間でのHBV慢性感染の発生を1%未満にするという新たな目標を立てている。この目標を達成するためには、貧困の進んだ地域での予防接種をさらに推進していくことと、自宅出産の新生児に対しても24時間以内の予防接種を推進していくなどの継続的な対策が必要になると考えられる。

(WHO, WER, 82, No.24, 209-216, 2007)

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