(平成19年7月2日〜9月30日)
【平成19年第3四半期】
1.今回の報告期間は2007(平成19)年7月2日〜2007(平成19)年9月30日までの約3か月である。法定報告に基づく新規HIV感染者報告数は274件(うち男性254件、女性20件。前回報告270件、前年同時期233件)で、過去最高である。
一方、新規AIDS患者報告数は114件(うち男性101件、女性13件。前回報告110件、前年同時期107件)で過去2位である。
2.感染経路別に見ると、新規HIV感染者では同性間性的接触によるものが183件(全HIV感染者報告数の約67%)と最も多く、そのうち174件が日本国籍男性であった。また、異性間性的接触による新規感染者報告数は47件(全HIV感染者報告数の約17%、うち男性36件、女性11件)である。
一方、新規AIDS患者では同性間性的接触によるものが43件(全AIDS患者報告数の約38%)、異性間性的接触によるものが48件(全AIDS患者報告数の約42%、うち男性38件、女性10件)である。
年齢別では、新規HIV感染者は20〜30代が多数(約68%)を占め、新規AIDS患者は30〜50代と広く分布している。要約すると、感染者・患者とも89%以上を男性が占め、その中でも同性間性的接触による感染が約58%を占めている。
3.2007(平成19)年7月〜9月末までの保健所におけるHIV抗体検査件数は31,295件、自治体が実施する保健所以外の検査件数は6,544件、保健所等における相談件数は50,776件となっており、いずれも前年同時期より大幅に増加した。
4.2007(平成19)年1〜9月までの献血件数(速報値)は3,684,823件(前年同時期速報値3,738,551件)で、そのうちHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数は73件(前年同時期速報値74件)であった。10万件当たりの陽性件数は1.981件(前年同時期速報値1.979件)で、この四半期は前年より増加した。
5.新規HIV感染者報告数を感染経路別に見ると、男性同性間性的接触は依然半数を超えている。また年齢別では、20〜40代にHIV感染が広がっているものの、前回と比べて40代以上のHIV感染者の増加傾向を認めた。また、検査・相談件数の増加については、HIV検査普及週間前後に大幅に増加した前回報告よりさらに増加した。
これらのことを合わせて考えると、利用者の利便性に配慮した検査・相談事業による検査体制の整備について一定の成果が認められる。
一方で、検査・相談件数が減少に転じている自治体もあり、今後も全国的に検査・相談件数の増加傾向が持続するのか注視していく必要がある。
6.各自治体においては保健所等を中心に、さらに利用者の利便性(夜間・休日・迅速検査)に配慮した検査・相談事業を推進し、予防に関する普及啓発に努めることが重要であり、HIV 感染の早期発見による適切な治療の促進と感染拡大の抑制に努める必要がある。検査件数の増加に伴いHIV感染者・エイズ患者の報告が増加していることから、地域の実情に応じて告知後の支援・相談および医療提供体制のさらなる充実を図ることが急務である。
また、国民はHIV・AIDSについての理解を深め、身近な問題として積極的に予防に努めるべきである。早期発見は、個人においては早期治療、社会においては感染の拡大防止に結びつくので、HIV抗体検査・相談の機会を積極的に利用していただきたい。
今年の世界エイズデーキャンペーンは「Living Together〜大切な人を守るために〜」をテーマとしている。エイズのまん延防止、差別、偏見の解消のため、ひいては大切な人を守るために何ができるかを、国民ひとりひとりが考えていく機会になることを期待している。