ボツリヌスレファレンスセンター活動について
(Vol. 29 p. 42-42: 2008年2月号)

ボツリヌスレファレンスセンターは、2006(平成18)年6月に開催された衛生微生物技術協議会理事会・検査情報委員会・レファレンス委員会合同委員会において、ジフテリア・百日咳レファレンスセンターに組み込むかたちで承認された。

センター設立は、数カ所の地方衛生研究所の先生方から要望のあった以下の事項を今後実施する方針である。

 1.4類感染症に食餌性ボツリヌス症追加による検査方法、発生状況等の情報提供の場
 2.感染症法の一部改正に伴うボツリヌス菌および毒素の取り扱い等規制対応の場
 3.千葉血清廃業に伴う診断用抗毒素の作製と配付
 4.早期診断法の改良・開発(動物試験法の代替法)

設置に際しては、ジフテリア・百日咳レファレンスセンターが機能しており、国立感染症研究所・細菌第二部が事務局を行っている。このセンターに参加頂いている地方衛生研究所(地研)の担当者の先生方は、ボツリヌスの検査・診断等も担当している先生が多く、新たにボツリヌス関係で参加頂く先生方を募って「ボツリヌス・ジフテリア・百日咳レファレンスセンター」となった。2007(平成19)年12月末現在の組織はに示す。

病原体診断・検査に際して用いる抗毒素について:4類感染症にボツリヌス症が位置づけられ、食餌性ボツリヌス症、乳児ボツリヌス症、創傷ボツリヌス症、成人腸管定着ボツリヌス症および原因不明(テロを含む)の5病型に分類されている。患者発生時の検査に際してヒト由来の検体を検査するときには、2006(平成18)年に数カ所の地研と共同で作製し、協議会に報告した診断用A、B、EおよびF型ボツリヌス抗毒素を用いることとした。2007(平成19)年7月に各センターに抗毒素血清を送付して、検査体制を整えた。なお、食品の検査は食品衛生法の食品衛生検査指針に記載されている方法に従うことになるが、上記診断用抗毒素の使用が可能かは、今後の検討課題である。

国立感染症研究所細菌第二部 高橋元秀 見理 剛

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