2007年夏を中心とした京都府におけるエコーウイルス30型の分離状況
(Vol. 29 p. 79-80: 2008年3月号)

2007年夏季の京都府での無菌性髄膜炎週別患者発生数は、第30週(7/23〜7/29)を初発とし、第36週(9/3〜9/9)にピークを迎え、その後減少した(図1)。流行は約1カ月にわたったものと考えられる。エコーウイルス30型(E30)は、2003年6月〜9月にかけて全国的に流行した。京都府においては、4年ぶりに分離数が増加した。

検体は、2007年7月〜11月までに無菌性髄膜炎と診断され搬入された計42検体である。ウイルス分離にはHeLa、Vero、HEp-2、RD18-S、MDCK細胞を用い、34℃で静置培養した。CPEが出現したものについてはEP95プール抗血清および市販抗血清を用いて中和試験を行った。

月別E30分離状況を図2に示した。無菌性髄膜炎と診断された42検体からは7月〜11月中旬までに28株のE30を分離した。E30は7月31日に採取された検体から初めて2株分離され、さらに8月13株、9月11株、10月1株、11月1株が分離された。

また他に、いずれも8月に発疹症、上気道炎から各1株および感染性胃腸炎と診断された3検体から3株、計5株のE30が分離され、今期のE30の分離数は合計33株となった。

E30の分離された検査材料は、髄液16検体、糞便16検体、咽頭ぬぐい液1検体であった。11症例で糞便と髄液の複数材料が持ち込まれたが、すべて両方からウイルスが分離された。患者の年齢は0歳、1歳各2症例、2歳、3歳各1症例、4歳、5歳各4症例、6歳3症例、7、8、13、14、15歳各1症例であった。

33株中30株がRD-18S細胞で分離され、HEp-2細胞で18株、HeLa細胞では15株が分離された。これら33株の分離株のうち19株は複数の細胞でCPEが出現した。Vero細胞およびMDCK細胞では、CPEが認められなかった。CPEの出現は非常に早く、いずれの細胞でも3代継代では概ね3日以内に出現した。分離されたE30の遺伝子解析等については現在検討中である。

京都府保健環境研究所 木上照子 石崎 徹 柳瀬杉夫

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