2007〜2008年において、高知県では冬季にも咽頭結膜熱の患者が発生しており、第49週(12/3〜12/9)に定点当たりの患者報告数が0.43人/週(前週0.10人/週)と上昇し、過去10年平均と比較しても、冬季に咽頭結膜熱の発生が途切れないといった特徴があるものとなった(図1)。
感染症発生動向調査で2007年8月〜2008年2月に咽頭結膜熱(PCF)等として病原体定点医療機関から搬入された検体について、アデノウイルス(Ad)の分離・同定をおこなった結果を表1(月別)および表2(診断名別)に示した。分離培養はFL、HeLa、Vero、RD-18S、LLC-MK2細胞を用い、同定は市販(デンカ生研)抗血清を用いて中和試験を行った。検体が糞便の場合は、免疫クロマト法でウイルスの有無を試験した。
2007年8月〜2008年2月に29株のAdが検出され、うち冬季の12月〜2月の3カ月間に12株検出された。型別では1型1株、2型5株、3型22株、未型別1株と、3型が最も多く、診断名別ではPCFが最も多かった。本県におけるAd感染(特にPCF)の主因ウイルスは、Ad3であると推測された。
近年、PCFは全国的に冬季にも患者が発生する傾向が見られている。今後の動向に注意が必要である。
高知県衛生研究所
細見卓司 谷脇 妙 戸梶彰彦 松本道明 千屋誠造 大野賢次 福永和俊