ワクチン接種後の失神、2005年1月〜2007年7月−米国
(Vol. 29 p. 167-167: 2008年6月号)

失神(血管迷走神経反射)、気絶は医療行為を含む様々な刺激が引き金となり起こる。ワクチン接種後の失神も報告されているが、大半は思春期成人である。ワクチン接種後失神の傾向を調査するため、疾病対策予防センター(CDC)と食品医薬品局(FDA)はワクチン副作用報告システム(Vaccine Adverse Event Reporting System; VAERS)の2005年1月1日〜2007年7月31日のデータを解析し、2002年1月1日〜2004年12月31日の結果と比較した。

2002〜2004年の期間中には203件の報告であったのに対し、2005〜2007年では463件のワクチン接種後失神の報告が、5歳以上で報告された。5歳以上での年別発生率(100万接種当たり)は、2002年0.30、2003年0.35、2004年0.28、2005年0.31、2006年0.54であった。2002〜2004年と比較して、2005〜2007年では、女性(61%対78%)および11〜18歳(47%対62%)に明らかな増加が見られた。また、2005〜2007年に報告された463件のうち、292件(63%)は最近承認され、思春期成人に接種が推奨されている3つのワクチンのいずれかに関連していた。その3つのワクチンとは、4価結合型髄膜炎菌ワクチン(MCV4)(メナクトラ® 、サノフィ)、破傷風トキソイド・ジフテリアトキソイド・無細胞百日咳3種混合ワクチン(Tdap)(アダセル® 、サノフィ;ブーストリックス® 、グラクソスミスクライン)、遺伝子組み換え型4価ヒトパピローマウイルスワクチン(HPV)(ガーダシル® 、メルク)である。

2005〜2007年の463件のうち、33件(7.1%)は重篤な結果を引き起こし、そのうちの26件についてワクチン接種から失神までの時間を調べたところ、12件(52%)が5分以内、16件(70%)が15分以内であった。26件のうち10件が失神に伴って受傷したが、うち9件は頭部外傷で、1件は運転中の失神による交通事故であった。

ワクチン接種後失神に関連した受傷防止のため、ワクチン接種に関する諮問委員会(ACIP)はワクチン接種後15分間の観察を強く推奨している。

(CDC, MMWR, 57, No.17, 457-460, 2008)

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