(平成19年12月31日〜平成20年3月30日)
【平成20年第1 四半期】
1.今回の報告期間は2007(平成19)年12月31日〜2008(平成20)年3月30日までの約3カ月である。
法定報告に基づく新規HIV感染者報告数は251件(うち男性236件、女性15件。前回報告277件、前年同時期227件)で、過去4位である。
一方、新規AIDS患者報告数は94件(うち男性82件、女性12件。前回報告95件、前年同時期81件)で過去9位である。
2.感染経路別に見ると、新規HIV感染者では同性間性的接触によるものが165件(全HIV感染者報告数の約66%)と最も多く、そのうち159件が日本国籍男性であった。
また、異性間性的接触による新規感染者報告数は55件(全HIV感染者報告数の約22%、うち男性43件、女性12件)である。
一方、新規AIDS患者では同性間性的接触によるものが44件(全AIDS患者報告数の約47%)、異性間性的接触によるものが28件(全AIDS患者報告数の約30%、うち男性20件、女性8件)である。
年齢別では、新規HIV感染者、新規AIDS患者ともに20〜50代に広がりを見せているが、HIV感染者では、特に20〜30代が突出している。
要約すると、感染者・患者とも約90%を男性が占め、その中でも同性間性的接触による感染が約65%を占めている。
3.2008(平成20)年1月〜3月末までの保健所におけるHIV抗体検査件数は34,731件、自治体が実施する保健所以外の検査件数は6,699件、保健所等における相談件数は55,507件となっており、いずれも前年同時期より大幅に増加した。
4.2008(平成20)年1月〜3月までの献血件数(速報値)は1,239,315件(昨年同時期速報値1,222,911件)で、そのうちHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数は28件(昨年同時期速報値19件)であった。10万件当たりの陽性件数は2.259件(昨年同時期速報値1.554件)で、前年より増加した。
5.検査・相談件数を見ると、HIV検査普及週間、世界エイズデー以外の時期にも、高い水準で推移している。利用者の利便性に配慮した検査・相談事業による検査体制の整備について、一定の成果が認められる。一方で、検査・相談件数が減少に転じている自治体もあり、今後も全国的に検査・相談件数の増加傾向が持続するのか注視していく必要がある。
6.各自治体においては保健所等を中心に、HIV検査普及週間を利用し、さらに利用者の利便性(夜間・休日等)に配慮した検査・相談事業を推進し、予防に関する普及啓発に努めることが重要であり、HIV感染の早期発見による適切な治療の促進と感染拡大の抑制に努める必要がある。
また、国民はHIV・AIDSについての理解を深め、身近な問題として積極的に予防に努めるべきである。早期発見は、個人においては早期治療、社会においては感染の拡大防止に結びつくので、HIV抗体検査の機会を積極的に利用していただきたい。