台湾では、3歳までに子供が受ける予防接種はBCG、HBV、DTP、OPV、MMR、日本脳炎、乳児インフルエンザであり、予防接種の費用は、政府による助成が行われている。従来のDTPワクチンは、乳幼児において接種部位の発熱や発赤、腫脹などの副反応がある程度の割合で発生したため、DTaP(無菌体DTP)、DTaP・Hib混合、5種混合(DTaP, Hib, IPV)、6種混合(DTaP, Hib, IPV, HBV)ワクチンが新たに開発、製造された。DTaPワクチンの副反応は10〜20%以下であり、Hib・DTaP混合、5種混合、6種混合ワクチンも、副反応は減少している。
混合ワクチンは複数の成分を含んでおり、各々の成分に対する接種年齢は異なる。そのためワクチンスケジュールが修正される必要があり、保健省ワクチン諮問委員会は以下のスケジュールを提案している:
DTaP・Hib混合ワクチンと5種混合ワクチンはDTPと同じスケジュール(2, 4, 6, 18カ月)とする。OPVワクチンはDTaP・Hib混合ワクチンと一緒に接種しなくてはならない。DTaP、DTaP・Hib混合、5種混合ワクチンはHBVワクチンとは別に接種するため、HBVワクチンを投与する場合は、これらのワクチンスケジュールに変更を加えて接種をおこなう。6種混合ワクチンを使用する場合、乳児は生後2〜5日に単味HBVワクチンを接種、その後6種混合ワクチンを1.5、3、6カ月に接種とし、接種間隔は1カ月以上あけるべきである。
2007年に行われた保健省予防接種専門委員会(ACIP)第2回会議では、「同じ病原に対する異なったメーカーのワクチンは病原体に対し同じ有効性があるが、各メーカーはワクチン製造にあたり異なる成分を使用している可能性があるため、接種にあたってはワクチンメーカーや接種スケジュール、接種回数について事前に医師に相談し、専門的な意見を聞くことが必要である」との提言がなされた。また、DTaP、DTaP・Hib、5種混合ワクチンのメーカーは多数存在するという問題について、ACIPは「現段階では各ワクチンメーカーのDTP成分含有混合ワクチンの代替接種の有効性を支持する根拠がないことから、同一メーカーの混合ワクチンを使用すべきである」との提言がなされた。
ワクチン業界では接種回数を減らすという理由から混合ワクチンの製造を促進する傾向にある。そのため、台湾CDCの今後5年の目標は、5種、6種混合ワクチンを推奨しながら、台湾国民の感染症に対する免疫力を増加させることである。国民の免疫力増強に向けて、新しいワクチンを定期予防接種に組み込むために、台湾CDCは国立ワクチン財団に対する政府や企業からの財政的な支援、寄付、その他財源を求めている。
(台湾Epidemiology Bulletin, 24, No. 5, 347-356, 2008)