2006/07シーズンの季節性インフルエンザ予防接種において、リスク集団に対する各国に特有の勧告を確認するとともに、各国のワクチン接種率情報を収集し、国際的な勧告と比較するために、欧州連合(EU)加盟国とノルウェー、アイスランドの計29カ国で調査を実施した。
調査した29カ国のうち、28カ国で高齢者集団(22カ国で65歳を超える老人)に季節性インフルエンザワクチン接種を勧奨し、1カ国(オーストリア)ですべての年齢集団に勧奨していた。慢性肺疾患、心血管系疾患のある患者に対してはすべての国で勧奨していた。血液疾患、代謝性疾患のある患者には28カ国で、免疫疾患、腎臓疾患のある患者には27カ国で、長期療養施設入所者には24カ国で接種を勧めていた。また、ほとんどの国が病院(25カ国)、長期療養施設(25カ国)、外来患者クリニック(23カ国)の医療従事者に接種を勧奨し、約1/3の国が生活基盤支持産業(10カ国)、軍隊(10カ国)、獣医業務(10カ国)と家禽を取り扱う産業(13カ国)に従事する職員に勧奨していた。さらに、8カ国が妊婦に勧奨し、5カ国が子供(6カ月〜5歳までに限って)に勧めていた。
1カ国(ギリシア)以外のすべての国にインフルエンザワクチン接種率をモニターするシステムがある。大半(14カ国)は一般住民と特定のリスク集団の両方について実施しており、特定のリスク集団のみ(7カ国)、あるいは一般住民のみ(7カ国)について接種率をモニターしている。20カ国が、いくつかの特定リスク集団の接種率をモニターするシステムを持っており、そのうち、18カ国が高齢者の接種率をモニターしていた。接種率をモニターするための方法は国によって異なり、8カ国が管理上の方法(ワクチン接種や支払い請求件数)のみ、14カ国が管理上の方法に他の方法(調査か薬局のデータ)を組み合わせていた。最も用いられていた情報源は健康記録のデータ(カルテ、電子カルテ、予防接種台帳/記録を20カ国で使用)で、毎年モニターしている国が11カ国あった。
報告のあった19カ国(訳者注:要約文中では20カ国と記されているが、本文内容により19カ国に修正)における65歳を超える高齢者の2006/07シーズンの接種率は1.8〜82.1%であり、7カ国での保健医療従事者の接種率は14〜48%、7カ国での基礎疾患を持つ人々の接種率は27.6〜75.2%であった。
(Eurosurveillance, 13, Issue 43, 4-10, 2008)