レタスによる志賀毒素産生性大腸菌O157感染症の国際的な集団発生、2007年9〜10月−オランダ、アイスランド
(Vol. 30 p. 78-79: 2009年3月号)

2007年9月14日〜10月20日の間に、志賀毒素産生性大腸菌(STEC)O157の集団発生が、オランダとアイスランドで同時に発生した。

オランダでは、1999〜2006年のSTEC感染症の年間報告数は32〜57例であったが、2007年9月末にSTEC報告数の著しい増加が観察され、9月14日〜10月20日の間に41例の発症が確認された。記述疫学では、25症例(86%)が発病の前の週にレタスを食べたと報告しており、STEC感染とレタスの消費の関連が示唆された。この集団発生症例とサーベイランスの散発例に対する質問票調査結果の比較から、パック詰めレタスで最も高いオッズ比が示された(7.33:95%CI 2.19-24.50、2007年散発例との比較)。

一方、アイスランドでは、2007年以前の10年間は、STEC感染症は2004年の4例を除き、年間2例以下であり、集団発生はこれまでに報告されていなかったが、2007年9月23日〜10月18日の間に9例の発症、うち7例の入院が報告された。さらに一次感染例7例のうち5例がオランダから輸入された同一ブランドのレタス盛り合わせパックを消費していることが明らかになった。

2007年10月11日に、アイスランドはヨーロッパ疾病予防管理センター(ECDC)によって管理されているヨーロッパ食品飲料水由来感染症ネットワークの緊急照会システムを通じて、進行中のSTEC O157集団発生について、他のヨーロッパ諸国に通知した。これに対応してオランダが同様の報告をしたことをきっかけに、2カ国間の連絡が確立し、情報交換が促進された。10月22日にはSTEC分離株のパルスフィールド・ゲル電気泳動パターンが比較できるようになり、両国の合計50例の検査確定例が同一クローンに起因することが示された。この国際的集団発生の最も可能性の高い感染源は、オランダの食品加工工場で細断・包装されたレタスであった。オランダの作物生産者と処理工場から採取された、環境や、生産物、最終製品の検体からはSTEC O157は検出されなかった。

ヨーロッパでは、食物製品は食品由来病原体の潜在的な拡大の危険をはらんでおり、しばしば同時に数カ国にわたって広く流通する。今回の国際的な集団発生から、その初期探知と拡大のより効果的な評価に関する共通の警報・監視システムの重要性が強調された。

[Euro Surveill. 2008; 13(50): pii=19065]

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