【平成20年第4四半期】
【概要】
1.今回の報告期間は2008(平成20)年9月29日〜12月28日までの約3カ月。
2.新規HIV感染者報告数は292件(前回報告294件、前年同時期277件)で、過去2位。うち男性275件、女性17件で、男性は前年同時期(264件)より増加し、女性は前回(12件)および前年同時期(13件)より増加した。
3.新規AIDS患者報告数は110件(前回報告119件、前年同時期95件)で、過去4位。うち男性104件、女性6件で、男性は前回と同数で前年同時期(84件)より増加。女性は前回(15件)および前年同時期(11件)より減少。
4.HIV感染者とAIDS患者を合わせた新規報告数は 402件で過去2位である。
【感染経路・年齢等の動向】
1.新規HIV感染者:
○同性間性的接触によるものが211件(全HIV感染者報告数の約72%)と最多、そのうち202件が日本国籍男性。
○異性間性的接触によるものが57件(全HIV感染者報告数の約20%)、そのうち男性43件、女性14件。
○年齢別では、特に20〜30代が多いが、40代以上も前回および前年同時期より増加した。
2.新規AIDS患者:
○同性間性的接触によるものが51件(全AIDS患者報告数の約46%)。
○異性間性的接触によるものが38件(全AIDS患者報告数の約35%)。そのうち男性33件、女性5件。
○年齢別では、特に30代以上に多い。
【検査・相談件数の概況(平成20年10月〜12月)】
1.保健所におけるHIV抗体検査件数は41,238件、自治体が実施する保健所以外の検査件数は8,538件、保健所等における相談件数は63,426件。前年同時期に比べ、抗体検査数・相談件数ともに増加。
【献血の概況(平成20年1月〜12月)】
1.献血件数(速報値)は5,077,238件(前年4,939,550件)。
2.そのうちHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数は107件(前年102件)。10万件当たりの陽性件数は2.107件(前年2.065件)。前年より増加。
【平成20年年間報告(速報値)】
【概要】
1.今回の報告期間は2007(平成19)年12月31日〜2008(平成20)年12月28日までの約1年。
2.新規HIV感染者は1,113件で過去最高。
3.新規AIDS患者は432件で過去最高。
4.合計は1,545件(一日あたり約4.2件)で過去最高。
※平成19年(速報値)HIV感染者1,048件、AIDS患者400件、合計1,448件。それまでの最高。
※平成19年(確定値)HIV感染者1,082件、AIDS患者418件、合計1,500件。それまでの最高。
【感染経路・年齢等の動向(速報値)】
1.新規HIV感染者:
○同性間性的接触によるものが772件(全HIV感染者報告数の約69%)と最多。
○異性間性的接触によるものが219件(全HIV感染者報告数の約20%)。
○年齢別では、特に20〜30代が多いが、40代以上も前年より増加した。
2.新規AIDS患者:
○同性間性的接触によるものが192件(全AIDS患者報告数の約44%)。
○異性間性的接触によるものが146件(全AIDS患者報告数の約34%)。
○年齢別では、特に40代以上に多く、50歳以上で大幅に増加。
【検査・相談件数の概況(平成20年1月〜12月)】
1.保健所等におけるHIV抗体検査件数(確定値)は、177,156件(前年153,816件)で過去最高。平成19年よりも約2万3千件増加。
2.相談件数は230,091件(前年214,347件)で平成19年より約1万6千件増加。
【まとめ】
1.感染経路別に見ると、男性同性間性的接触がさらに増加し、年齢分布は拡大傾向にある。こうした動向を踏まえ予防普及啓発を重点的に強化していく必要がある。
2.国民はHIV・AIDSについての理解を深め、身近な問題として積極的に予防に努めるべきである。早期発見は、個人においては早期治療、社会においては感染の拡大防止に結びつくので、HIV抗体検査・相談の機会を積極的に利用していただきたい。
3.各自治体においては、さらに利用者の利便性(夜間・休日・迅速検査)に配慮した検査・相談事業を推進し、予防に関する普及啓発に努めることが重要であり、HIV感染の早期発見による適切な治療の促進と感染拡大の抑制に努める必要がある。