Enterobacter sakazakii の再分類について
(Vol. 30 p. 135-136: 2009年5月号)

Enterobacter sakazakii は、近年、調製粉乳(粉ミルク)による新生児髄膜炎などの原因としてFAO/WHO合同食品規格委員会において取り上げられるなど、注目を浴びている。本菌は腸内細菌科に属している。

1980年、Farmerらは、それまで「黄色色素産生性E. cloacae 」と呼ばれていた菌をE. sakazakii と命名した。しかしながら、その生物型の多様性から複数の種が包含されていることが示唆されていた。

最近Iversenらは、E. sakazakii の再分類に関する研究を行い、新しい属名Cronobacter を提唱した。その際、E. sakazakii に含まれていた16の生物型は、表1に示す5菌種3亜種および1genomospeciesに再分類された。現行のC. sakazakii にはE. sakazakii 生物型1〜4、7、8、11、および13が含まれる。現在はE. sakazakii を使用している文献が多いが、今後新しい種名を使用した文献が増えてくると考えられるので注意されたい。また、Cronobacter spp.に関する鑑別性状に関しては表2を参考にされたい。

 参考文献
1) Farmer III JJ, et al ., Int J Syst Bacteriol 30: 569-584, 1980
2) Iversen C, et al ., BMC Microbiol 6: 94, 2006
3) Iversen C, et al ., BMC Evol Biol 7: 64, 2007
4) Iversen C, et al ., Int J Syst Evol Microbiol 58: 1442-1447, 2008

国立感染症研究所細菌第一部 泉谷秀昌 渡邉治雄

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