日本のHIV感染者・AIDS患者の状況
(平成20年12月29日〜平成21年3月29日)
(Vol. 30 p. 191-192: 2009年7月号)

平成21年6月17日
厚生労働省健康局疾病対策課

第117回エイズ動向委員会委員長コメント

【平成21年第1四半期】
【概要】
1.今回の報告期間は平成20年12月29日〜平成21年3月29日までの約3カ月。

2.新規HIV感染者報告数249件(前回報告292件、前年同時期251件)で、過去8位。そのうち男性235件、女性14件で、男性は前回(275件)および前年同時期(236件)より減少。女性も前回(17件)および前年同時期(15件)より減少。

3.新規AIDS患者報告数124件(前回報告110件、前年同時期94件)で、過去2位。そのうち男性116件、女性8件で、男性は前回(104件)および前年同時期(82件)より増加。女性は前回(6件)より増加しているが、前年同時期(12件)より減少。

4.HIV感染者とAIDS患者を合わせた新規報告数は373件で過去6位。

【感染経路・年齢等の動向】
1.新規HIV感染者
同性間性的接触によるものが176件(全HIV感染者報告数の約71%)。そのうち167件が日本国籍男性。

異性間性的接触によるものが46件(全HIV感染者報告数の約18%)。そのうち男性34件、女性12件。

○年齢別では、特に20〜30代が多く、40代以上では前回および前年同時期より減少。

2.新規AIDS患者
同性間性的接触によるものが61件過去最高(全AIDS患者報告数の約49%)。

異性間性的接触によるものが39件(全AIDS患者報告数の約31%)。そのうち男性33件、女性6件。

○年齢別では、特に30代に多く、30〜40代が前回および前年同時期より増加。

【検査・相談件数の概況(平成21年1月〜3月)】
1.保健所におけるHIV抗体検査件数は37,788件、自治体が実施する保健所以外の検査件数は8,122件、保健所等における相談件数は58,359件前年同時期に比べ、抗体検査件数・相談件数ともに増加

【献血の概況(平成21年1月〜3月)】
1.献血件数(速報値)は1,299,689件(前年1,239,315件)。

2.そのうちHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数は28件(前年28件)。10万件当たりの陽性件数は2.154件(前年2.259件)。

【まとめ】
1.感染経路別に見ると、同性間性的接触によるHIV感染は増加傾向である。

2.地方自治体等の関係者の努力によりHIV抗体検査件数は増加傾向である。

3.各自治体においては、エイズ予防指針を踏まえ、個別施策層(特に男性同性愛者)に加え、中高年層等の特性に応じ、利用者の利便性に配慮した検査・相談事業を推進し、予防に関する普及啓発に努めることが重要であり、HIV感染の早期発見による適切な治療の促進と感染拡大の抑制に努める必要がある。

4.国民はHIV・AIDSについての理解を深め、身近な問題として積極的に予防に努めるべきである。早期発見は、個人においては早期治療、社会においては感染の拡大防止に結びつくので、HIV抗体検査・相談の機会を積極的に利用していただきたい。

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