アルファルファスプラウトの喫食に関連したSalmonella Saintpaul感染の集団発生、2009年−米国
(Vol. 30 p. 219: 2009年8月号)

2009年2月24日ネブラスカ州保健当局は、2月7〜14日に収集した検体からSalmonella Saintpaul 6株を分離した。S . Saintpaulは一般的な血清型ではなく、2008年には同州内で3株のみしか分離されていない。本報告は、13州で228例が感染した、複数の施設で生産されたアルファルファスプラウトを感染源とするS . Saintpaul集団発生の暫定的調査結果を要約したものである。

初期集団発生調査:2008年1月1日〜2009年1月31日まで、S . Saintpaulの集団発生株はPulseNetでわずか4株しか同定されなかった。2009年2月26日に州公衆衛生担当者に対し全国的な注意喚起が行われた後、さらに5つの州から追加症例が報告された。

ネブラスカ州の患者14例でのインタビュー調査により、特定の食品またはレストランとの関連性が疑われたことから、ネブラスカ州とアイオワ州が症例対照研究を行った。S . Saintpaulが検出された症例32、対照32を解析した結果、症例は「アルファルファスプラウトを喫食」が有意に高く、他に有意差のある食品はなかった。また、「チェーンレストランAでの食事」も高かったが、アルファルファスプラウトへの曝露を調整すると、統計学的有意差はなくなった。

2009年3月19日までに計186例がイリノイ、アイオワ、カンザス、ミネソタ、ネブラスカ、サウスダコタ州で報告され、そのうち156例のインタビューが終了し、114例(73%)でアルファルファスプラウトの喫食が報告された。

症例と種子栽培業者とのつながり:アルファルファスプラウトの遡り調査の結果、すべてはネブラスカ州にある同一の栽培施設(施設A)に由来していた。アルファルファスプラウトへの曝露が報告された114例のうち、112例(98%)はこの施設Aから仕入れたレストランや小売店と関連することがわかった。集団発生期間中にアルファルファスプラウトを栽培した種子は、すべて種子販売会社(販売会社B)のみからの購入であり、種子のロット番号はすべて上3桁が“032”で始まっており、それは同一種子栽培業者(栽培業者C)由来であることが判明した。3月3日、施設Aは自主的に栽培したアルファルファスプラウトの回収を行うことに同意したが、4月中旬までに、3月15日以降に発症した症例が10州から42例報告された。このうちの少なくとも20例は、最近アルファルファスプラウトを喫食していたことが報告され、その栽培施設の遡り調査では、販売会社B由来である上3桁032のロット番号の種子を受領していることが判明した。また、ウィスコンシンの栽培施設では、人への被害はないものの、3月10日に収集されたアルファルファスプラウトの洗浄液から集団発生株であるS . Saintpaulと見分けのつかない菌株が検出された。

2月1日以降、13州から計228例が報告された(ネブラスカ110、アイオワ35、サウスダコタ35、ミシガン18、カンザス8、ペンシルベニア7、ミネソタ5、オハイオ3、イリノイ2、ウエストバージニア2、フロリダ1、ノースカロライナ1、ユタ1)。症例の年齢は0〜85歳(中央値29歳)、うち女性が69%。情報の得られた症例だけで4%が入院したが、死亡例は報告されていない。

4月26日、米国食品医薬品局(FDA)と米国疾病対策センター(CDC)は消費者に対し、さらなる情報が出るまで、アルファルファスプラウトを含んだ混合物を含め、生のアルファルファスプラウトを食べないように勧告した。5月1日、FDAは、販売会社Bが032で始まる6桁のロット番号の付いたすべてのアルファルファの種子を市場から自主回収していることを、スプラウト栽培業者と小売業者に向けて通知した。

(CDC, MMWR, 58, No.18, 500-503, 2009)

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