米国疾病対策センター(CDC)は食品由来集団発生(foodborne disease outbreaks: FBDOs)のデータをFoodborne Disease Outbreak Surveillance System(FBDSS)によって収集している。本レポートは2006年に報告された食品由来集団発生に関する疫学情報をまとめたものである。
FBDOsのデータは各州、地域および準州の保健局が自発的に入力するものであり、インターネットベースの標準フォームを用いて行われる(electronic Foodborne Outbreak Reporting System: eFORS)。「食品由来集団発生」の定義は、一般的な食材から同様の疾患が2例以上発生したとき、となっている。報告される情報は、臨床症状、潜伏期間、診断のために行われた検査を含む。最終的にはCDCは報告を食材別に17区分に分類している。
2006年に48州から報告されたFBDOsは1,270件(症例数は計27,634例、死亡例は11例)で、多かった州として、ハワイ、メーン、ミネソタ、ノースダコタ、オレゴン、バーモント、ウィスコンシンが挙げられた。
そのうち884件(70%)に関して単一の病原体が確定もしくは疑われた。原因を確定した621件のうち、343件(55%)はウイルスによるもので、217件(35%)は細菌が原因であった。52件(8%)は化学物質によるものであった。また9件(1%)が寄生虫によるものであった。
ウイルス感染によるもののうち337件(98%)はCalicivirusであった(すべてノロウイルス)。細菌感染によるもののうち112件(52%)はサルモネラで、Salmonella Enteritidisが28件(13%)であった。複数の州にまたがった集団発生は11件あり、このうち10件は細菌感染によるものであった。そのうち4件はE. coli O157で、このうち3件は葉野菜が、残りの1件は牛肉が原因であった。別の4件はサルモネラによるもので、そのうち2件はトマト、1件はピーナツバター、1件はフルーツサラダが原因であった。
原因食品を特定できた集団発生はFBDOsのなかで528件(42%)あり、そのうちの243件(46%)では17に分けられた食材カテゴリーのうちのどれか1つの食材が原因として同定された。多いものでは、魚(47件)、鶏肉(35件)、牛肉(25件)であった。乳製品は16件(3%)であり、10件は未殺菌牛乳、6件はCampylobacter によるものであった。
(CDC, MMWR, 58, No.22, 609-615, 2009)