平成20年度HIV/AIDSの対策に関する東南アジア行政官会議について
(Vol. 30 p. 238-239: 2009年9月号)

「HIV/AIDSの対策に関する東南アジア行政官会議」(以下、「アジア行政官会議」)は、HIV/AIDSに関し、国際的な情報交換等を通じて予防対策を推進し、もって国民の保健福祉の向上に寄与することを目的に行われてきた。

2005(平成17)年に神戸で行われたInternational Conference on AIDS in Asia and Pacific(ICAAP)における各国の参加者の来日にあわせ、第1回行政官会議が開催された。その際、引き続きアジアの行政官同士が意見交換する場の存続を期待する参加者の意見により、2006(平成18)年度にはタイ北部のチェンライ、2007(平成19)年度にはカンボジアのプノンペンにて会議が開催された。

これまでの会議では、HIV/AIDSに関する予防施策について発表・討議がなされ、各国の法的枠組みを踏まえながら活発な情報交換や意見交換がなされた。また、会議を通じて予防施策が各国において重要視されていることが参加者間で再認識された。

今回は、2009(平成21)年3月18日(水)〜3月19日(木)に中華人民共和国雲南省昆明市において開催され、青少年の薬物使用感染を中心とした予防対策をテーマとし、各国の取り組みについて参加者間で情報が共有され、それぞれの国内対策に反映されることを期して、本事業を実施し、また国際的な情報交換等を通じて予防対策を推進し、国民の保健福祉の向上に寄与することを目的として、会議を開催した。

会議においては、参加各国からHIVや薬物乱用との関係について発表があり、積極的な意見交換が行われた。また、最終日には、「アジア域内およびグローバル・ネットワーキング」というテーマで議論が行われ、「アジア太平洋地域における国際エイズ学会(IAS)会議開催の今後の可能性」、「アジア地域におけるアジア太平洋地域エイズ国際会議(ICAAP)の役割とICAAP2009バリ会議への参加歓迎」等について発表が行われた。

最後に「今後の会議とネットワーキングに関するラウンドテーブル・ディスカッション」が行われ、座長である岩本愛吉先生が今回の会議についてのフィードバックを参加者に求め、各参加者が感想、所感、今後の会議のための提案等を述べた。その概略を以下に示す。

 ・多くの国と密度の濃い情報交換ができ、極めて生産的で有益な会議であった。
 ・IDUに関して多くのことを学ぶ良い学習機会であった。
 ・社会的観点を取り入れるべく、社会科学者をメンバーに含めより包括的なサービスパッケージを検討することを提案したい。
 ・本会議で培われたネットワークを活用してクロスボーダーの介入や研究を行っていくことを提案したい。
 ・このネットワークの影響力を強化したい。
 ・短い日程であったが直接会って意見交換することにより経験を共有することができた。より有益な会議にしていくため、改善すべき提案があればぜひ寄せてほしい(主催者コメント)。

日本のHIV感染者・AIDS患者の報告数が増えている中、国内の対策を充実させることはもちろん、国際的なネットワークを強化し、確かな情報を早く、幅広く得ることも重要である。今後とも様々な立場の方や機関の担当者が一堂に会する機会を得て、HIVに関する情報、より有効な予防対策や治療、ケア、研究のあり方等について情報交換をしてまいりたい。

厚生労働省健康局疾病対策課 大竹輝臣

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