遺伝子型D8麻疹ウイルスの検出―沖縄県
(Vol. 30 p. 299-300: 2009年11月号)

2009年第37週(9/7〜9/13)に沖縄県南部保健所管内で報告された麻疹患者より、遺伝子型D8麻疹ウイルスが検出されたので報告する。

患者は、20代女性、9月1日から微熱、咳、鼻水、右眼充血の症状があり9月4日に医療機関を受診したが改善せず、9月6日に発熱(39.5℃)、悪寒症状を呈し、翌日発疹を認めたため再度受診し入院となった。9月7日の採取血清では、麻疹IgM 7.69、IgG 4.49を示したことから麻疹と確定診断された。患者は、麻疹ワクチン接種歴なし、海外渡航歴はなかった。

9月9日に採取された麻疹患者の咽頭ぬぐい液および末梢血単核球を用いてRT-nested PCRおよびVero/hSLAM細胞を用いたウイルス分離を試みた。その結果、PCRでは両方の検体で麻疹ウイルスのHおよびN遺伝子が増幅され、ウイルス分離では、末梢血単核球でのみ接種後4日目から細胞変性効果が認められた。分離されたウイルス株MVi/Okinawa.JPN/37.09のN遺伝子(456bp)についてシークエンスを行い、系統樹解析を実施した結果、遺伝子型D8に分類された(図1)。GenBankに登録されている株との相同性検索では、インドやアメリカで分離されている遺伝子型D8の株(FJ223153、AY953415、EU139103)と100%一致した。

遺伝子型D8の麻疹ウイルスは、インド、ネパール、バングラデシュなどに分布し、これ以外の地域では輸入症例として報告されている1, 2)。わが国ではこれまで遺伝子型D8の報告例はなく、今回が国内で初めての症例と考えられた。本症例は海外渡航歴がなく感染源は不明であるが、判明した遺伝子型より国外から持ち込まれた麻疹ウイルスに感染した可能性が示唆された。10月20日現在、県内において本症例からの二次感染例は確認されていない。

 参考文献
1)WHO, WER, 80, No.40, 347-350, 2005
2)WHO, WER, 81, No.51/52, 474-479, 2006

沖縄県衛生環境研究所
平良勝也 岡野 祥 仁平 稔 糸数清正 久高 潤 中村正治
沖縄県立南部医療センター・こども医療センター
中村優理 和氣 亨
沖縄県南部保健所
中村孝一 小林孝暢 山川宗貞 譜久山民子
沖縄県福祉保健部医務課
石川裕一 糸数 公

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