2009/10シーズン初のインフルエンザウイルスB型(Victoria系統)分離―新潟県
(Vol. 31 p. 53-54: 2010年2月号)

新潟県では2009年12月に今シーズン初めて季節性インフルエンザB型(Victoria系統)を1株分離した。

患者は4歳男児。12月12日に発症。症状は発熱39.6℃、上気道炎症状有り。家族も含め海外、国内旅行歴なし。新潟市内の定点医療機関から感染症サーベイランスの検体として12月15日に検体搬入された。医療機関での迅速キットの結果はインフルエンザB型であったが、インフルエンザの地域流行はあるもののB型は稀であるため、新型インフルエンザを疑い検体からリアルタイムPCRを実施した。新型インフルエンザは陰性であった。この咽頭ぬぐい液をMDCK細胞、CaCo-2細胞、LLC-MK2細胞に接種したところ、すべての細胞でウイルスが分離された。このうちMDCK細胞から分離されたウイルス株について、国立感染症研究所から配布された2009/10シーズンウイルス同定用キットを用いて赤血球凝集抑制(HI)試験(0.5%モルモット赤血球を使用)を行った結果、抗B/Brisbane/60/2008(ホモ価2,560)に対してHI価160、抗A/California/7/2009(H1N1)pdm(同2,560)に対してHI価20、抗A/Brisbane/59/2007(同320)、抗A/Uruguay/716/2007(同1,280)および抗B/Bangladesh/3333/2007(同2,560)に対してHI価10であり、B型(Victoria系統)と同定された。

新潟県内ではこの症例より前にも9月中旬より迅速検査でインフルエンザB型陽性という検体が7件あったが、いずれもインフルエンザウイルスB型は分離されず、新型インフルエンザウイルスが3株、パラインフルエンザウイルス1型が1株、コクサッキーウイルスB3型が1株、アデノウイルス2型1株が分離され、ウイルス分離陰性が1件であった。このため、迅速キットの結果の判定には慎重を要すると考える。

現在、新型インフルエンザが流行しているが、1月に入り、季節性インフルエンザの流行も懸念されることから、今後B型も含めてインフルエンザの発生動向に注意していきたい。

新潟県保健環境科学研究所 昆 美也子 渡部 香 田沢 崇 田村 務 西川 眞
原こども医院 原 錬太郎

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