このような状況に対応するため、衛生微生物技術協議会レファレンスセンター構想が生まれ、現在13レファレンスセンターが活動している。感染研担当部局(病原体によっては他の研究所)と通常、地研全国協議会の全国6ブロックから各々1つの地研が参加(病原体によっては1ブロックから2つの研究所が参加)し、活動を行っている(表1)。
主たる活動は、各種病原体の検査法共同開発、各ブロックへの技術移転と検査技術の維持、検査用試薬等の維持と供給、各地域における検体の検査等である。本活動により、表1の感染症については、各ブロックに検査を行うことが可能な施設が少なくとも一つは存在することになっている。
現在13レファレンスセンターが活動しているが、ここ数年は毎年増加している状況である。新規レファレンスセンター設立の申請を受けた場合には、毎年行われる衛生微生物技術協議会のレファレンス委員会および理事会において審議され、承認される。現在の問題点として、(1)本活動のための予算が限られており、数が増加するほど各レファレンスセンターあたりの予算が減少すること、(2)一つの地研が複数のレファレンスセンターとして活動している状況から、人員等の面でさらなる増加が困難となってきていること、があげられる。しかし、レファレンスセンターが感染症対策において、感染研と地研の検査業務の発展に果たした役割は大きく、今後も維持発展させていく必要がある。
国立感染症研究所レファレンス委員長・ウイルス第一部部長 倉根一郎