同一焼肉チェーン店を原因とする腸管出血性大腸菌O157食中毒事件―千葉県
(Vol. 31 p. 159-160: 2010年6月号)

2009(平成21)年11月14日〜2010(平成22)年1月2日にかけて同一焼肉チェーン店(東京都等6自治体17店舗)の利用客20名が腸管出血性大腸菌(EHEC)O157に感染していることが判明した。

当保健所管内でも当該焼肉チェーン店においてEHEC O157食中毒事件が発生したのでその概要を報告する。

探知:2010(平成22)年1月4日、千葉県柏市内の医療機関からEHEC O157感染症の発生届があった。

患者(1名)は2009(平成21)年12月26日(土)から腹痛および下痢の症状を呈しており、医療機関の便検査の結果、EHEC O157(VT1&2 陽性)が検出された。

調査:患者の行動・喫食について発症前2週間遡り調査を実施したところ、2009(平成21)年12月23日(水)に千葉県内の焼肉チェーン店A(本社:横浜市)にて患者と夫(計2名)で食事をしていることが判明した。夫は非発症であった。

患者から検出された菌株を確保し、千葉県衛生研究所においてパルスフィールド・ゲル電気泳動を実施したところ、東京都内の同一焼肉チェーン店Bにおいて収去された参考食品(牛横隔膜)由来のO157の菌株とパターンが一致したことが1月19日に確認された。

なお、東京都内B店の菌株は、東京都健康安全研究センターにおいて、川崎市内の同一焼肉チェーン店C店で収去された参考食品(サガリ:牛横隔膜)由来のO157の菌株と、既に食中毒と決定されている東京都内D店において患者便から分離されたO157の菌株と一致している。

当該店の牛横隔膜の遡り調査の結果、提供された食肉は他店と同じ東京都内の食肉加工施設でカット処理・冷凍されたものであった。

当該店では食肉の生食の提供はしていなかった。

患者は、焼肉(豚タン・ベーコン・サガリ・カルビ・しまちょう)、冷麺を摂取していた。

利用客には食肉用のステンレス製トングと箸が提供されていた。

患者は、東京都内D店の食中毒事件患者とは居住地や生活圏が異なり、当該食材または施設の他に共通の感染源はないことが判明した。

発症日から2週間遡っての利用飲食店、スーパー等食材購入先調査を実施したところ、他に食中毒事故にかかわる問題点はなかった。

以上の調査結果から、「当該焼肉チェーンA店」を原因施設と特定し、EHEC O157による食中毒事件と決定した。

原因:東京都と川崎市の店から収去したサガリ(牛横隔膜)由来のO157の菌株と遺伝子配列が一致したことから、サガリもしくは、サガリによる二次汚染が考えられる。

EHEC O157に汚染された食肉を、喫食者が加熱不十分な状態で摂取したことが一要因であると推定される。

千葉県松戸保健所 所長 中川晃一郎
 健康生活支援課 立野 泰
今月の表紙へ戻る


IASRのホームページに戻る
Return to the IASR HomePage(English)



ホームへ戻る