日本のHIV感染者・AIDS患者の状況
  (平成22年6月28日〜9月26日)

(Vol. 31 p. 362-364,367,368: 2010年12月号)

平成22年11月29日
厚生労働省健康局疾病対策課
第123回エイズ動向委員会委員長コメント
《平成22年第3四半期》
【概要】
1.今回の報告期間は2010(平成22)年6月28日〜2010(平成22)年9月26日までの約3か月。
2.新規HIV感染者報告数は257件(前回報告263件、前年同時期249件)で、過去9位。そのうち男性240件、女性17件で、男性は前回(248件)より減少、前年同時期(234件)より増加、女性は前回(15件)および前年同時期(15件)より増加。
3.新規AIDS患者報告数は111件(前回報告129件、前年同時期96件)で、過去7位。そのうち男性103件、女性8件で、男性は前回(125件)より減少、前年同時期(89件)より増加、女性は前回(4件)および前年同時期(7件)より増加。
4.HIV感染者とAIDS患者を合わせた新規報告数は368件で過去10位。新規報告数全体に占めるAIDS患者の割合(111÷ 368)は30.2%。

【感染経路・年齢等の動向】
1.新規HIV感染者
○同性間性的接触によるものが180件(全HIV感染者報告数の約70%)。そのうち176件が日本国籍男性。
○異性間性的接触によるものが37件(全HIV感染者報告数の約14%)。そのうち男性28件、女性9件。
○母子感染によるものが1件。
○年齢別では、特に20〜30代が多いが、40代および50歳以上も多い。

2.新規AIDS患者
○同性間性的接触によるものが50件(全AIDS患者報告数の約45%)。
○異性間性的接触によるものが29件(全AIDS患者報告数の約26%)。そのうち男性24件、女性5件。
○静注薬物によるものが0件。
○年齢別では、特に30代以上に多いが、50歳以上で増加が見られる。

【検査・相談件数の概況[2010(平成22)年7月〜9月]】
1.保健所におけるHIV抗体検査件数(速報値)は26,850件(前回報告25,136件、前年同時期26,645件)、自治体が実施する保健所以外の検査件数(速報値)は7,334件(前回報告6,555件、前年同時期6,253件)。
2.保健所等における相談件数(速報値)は43,735件(前回報告39,928、前年同時期43,052件)。
前回報告および前年同時期に比べ、抗体検査件数・相談件数ともに増加。

【献血の概況[2010(平成22)年1月〜9月]】
1.献血件数(速報値)は3,999,981件(前年速報値3,955,079件)。
2.そのうちHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数(速報値)は61件(前年速報値79件)。10万件当たりの陽性件数(速報値)は1.525件(前年速報値1.997件)。

《まとめ》
1.HIV感染者、エイズ患者ともに、前回報告件数と比較して減少したものの、前年同時期と比較すると増加しており、増加傾向にあることには変わりない。
2.自治体が実施するHIV抗体検査件数・保健所等における相談件数は、2008(平成20)年第4四半期をピークに減少傾向にあったが、今回(第3四半期)は検査普及週間のあった第2四半期よりも増加しており、減少傾向に一定の歯止めがかかったといえる。特に8月に検査・相談件数が増加しているが、これは8月に「四半期ベースではエイズ患者の報告数が過去最大になった」ことなどが報道されたこと等が考えられる。
3.HIV感染者とAIDS患者を合わせた新規報告数に占めるAIDS患者の割合は約3割と引き続き非常に高い。これは早期検査・早期治療の重要性を示している。
4.前回に引き続き今回も母子感染が報告された。母子感染については、適切な感染防御対策を講じることで、感染率を1%以下にまで制御することが可能であることを、引き続き広く周知する必要がある。
5.12月1日はWHOが定めた世界エイズデーである。厚生労働省や自治体等において、世界エイズデーに合わせたキャンペーンが予定されており、国民にはこの機会を通じてHIV/エイズに対して関心を持っていただきたい。

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