Granada市で現在も続いているワクチン未接種者における麻疹アウトブレイク、2010年10〜11月−スペイン
(Vol. 32 p. 51: 2011年2月号)

スペインAndalusia地方では生後15カ月児と3歳児に対してMMRワクチン接種が行われている。2010年11月15日現在、同地方のGranada市(人口23.4万人)で麻疹集団発生が続いている。

2010年10月13日、麻疹疑い例(13歳女性)の報告があり、血清IgM陽性と確認された。10月19日には、同じ地域に住む生後13カ月の幼児例が報告された。いずれも同じ結婚式に参加しており、スペイン国内の他地域に帰ってから麻疹と診断された少女との接触があった。11月15日までに計25例が麻疹と確定診断され、年齢は生後7カ月〜38歳(1歳未満が9例、3歳未満が14例)であった。また、25例のうち21例は市内の同じ地区(A地区)に居住しており、21例のうち19例が15歳未満で、そのうち11例が保育園または学校に通っていた。内訳は以下の通り。

 ・A地区外の中学校1例(A地区に居住)、二次感染例無し
 ・小学校1(A地区):6例
 ・小学校2(A地区):1例、二次感染例無し
 ・保育園1(A地区):2例
 ・保育園2(A地区):1例、二次感染例無し

25例中4例はA地区以外に居住しており、病院で麻疹に感染した。全例同じ病院で治療され(入院14例、外来11例)うち2例がそれぞれ気管支炎、肺炎と診断されていた。ワクチンは6歳の1例(MMRワクチンを1回接種)を除き全員未接種であった。25例中19例が検査診断されており、2例から麻疹ウイルス(遺伝子型B3)が検出された。

発症者を認めた学校、保育園に介入がなされ、MMRワクチン接種歴が不十分な児童に接種が行われ、発疹を認めた場合、最低4日間の登校が禁止された。罹患歴やワクチン接種歴がない40歳未満のスタッフには抗体検査の結果に応じてMMRワクチン接種が勧められた。生後12〜15カ月児には初回MMRワクチン接種が前倒しで行われ、生後6〜11カ月児に対しては接種スケジュールに従った15カ月時に再接種を行う前提でMMRワクチンが接種された。発症者に接触したもののワクチン接種歴や麻疹罹患歴が無い場合には、免疫グロブリン投与の対象者を除き、72時間以内にMMRワクチンが接種された。

Granada市周辺では、生後11カ月以上の乳児に対してMMRワクチン初回接種が前倒しで行われている。発症者が認められた地域の40歳未満の医療従事者で、麻疹罹患歴やワクチン接種歴が証明されない者に対してはワクチン接種が行われた。

発症者がもっとも多い小学校1はMMRワクチン接種率が低かった(約60%)が、未接種児および両親に働きかけられ、ワクチン接種率は95%に向上しつつある。多くの親はワクチン接種に対して強い信念があるわけではなく、介入によって態度を変える可能性がある。病院で4名に感染が広がったため、病院スタッフに対して感染予防策の教育機会が設けられた。

2010年12月7日現在、Granada市からの麻疹確定例の報告は59例に達している。多くは乳幼児や15歳未満の学童で、成人例の報告はほとんどない。現在の24〜33歳の世代では感受性者が5%を超えていると考えられるが、追加ワクチン接種キャンペーンは行っておらず、この世代で発症者が増加する可能性がある。

(Euro Surveill. 2010;15(50):pii=19746)

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