新潟県の感染症サーベイランスにおけるロタウイルスの検出状況、2005〜2010年
(Vol. 32 p. 73-74: 2011年3月号)

2005〜2010年の間の、新潟県におけるA群ロタウイルスの検出状況(棒グラフ)と感染性胃腸炎の定点当たり患者数(折れ線グラフ)を重ねて図示した(図1)。A群ロタウイルスが検出されている時期は11〜6月で、3〜5月に多い傾向があった。感染性胃腸炎の定点当たり患者数のグラフでは、12〜1月のピークはノロウイルスによるものと考えられ、ロタウイルスの検出状況からみると、ロタウイルス感染症の流行はノロウイルスの流行期の後で起こる傾向があると考えられる。

ロタウイルスが検出された患者の年齢区分を表1に示した。1歳が最も多く、2歳までで77.9%を占めた。

年ごとのロタウイルスの検出状況を表2に示した。A群ロタウイルスのG型別では、2006年は、G1型が66.7%を占めていたが、年を経るにつれて減少し、2010年には6.5%となった。反面、2006年に11.1%と少なかったG3型の占める割合が年々増加し、2010年には90.3%となった。2008年に、一時的にG9が46.7%と最も多くを占めたが、2009年には 3.2%に減少した。この変動要因は不明だが、検査事例数が少ないことから、地域的な流行が大きく反映されている可能性もあり、ロタウイルスの型の変動を正確に把握するには、より充実したサーベイランスが必要と思われる。

2008〜2010年のG3型について、VP7遺伝子の系統樹を図2に示した。経年による遺伝子の変異は少なく、同じVP7遺伝子をもつG3型が増加していると考えられる。近年、G3型のA群ロタウイルスが中国やベトナム等のアジア地域で増加しているとの報告があるが、今回検出されたVP7遺伝子もこれらの株と近縁な株が多かった。

現在G型別のみ実施してNESIDに登録しているが、今後P型別を併せた解析が必要と思われる。

新潟県保健環境科学研究所ウイルス科
田村 務 渡邊香奈子 田澤 崇 昆 美也子 渡部 香

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