ACIPによる妊婦および生後12カ月未満の乳児と密接に接触する、あるいは接触が予測される人々に対するTdap接種に関する最新勧告、2011年−米国
(Vol. 32 p. 370: 2011年12月号)

生後12カ月未満の乳児は年長の小児や成人と比べて百日咳の発症率がかなり高く、百日咳関連による死亡の負担が最も大きい。2004年以降、毎年19人を超える百日咳乳児死亡と年平均 3,055人の乳児例が報告されている(CDC, 2011年未公表データ)。百日咳患者や入院・死亡の多くがワクチン接種対象年齢に達しない生後2カ月未満の乳児で、この年齢群に対する新たな予防接種戦略が必要とされている。2005年から予防接種諮問委員会(Advisory Committee on Immunization Practices: ACIP)は、抗原量を減じた3種混合(破傷風・ジフテリア・無細胞性百日咳)ワクチン(Tdap)の追加接種を、ワクチン未接種の出産後の女性や、その他の新生児をもつ家族に対して行うことで新生児を守る“Cocooningプログラム”として推奨している。しかし、過去5年間で、出産後の女性への接種はある程度普及したが、父親や他の家族への接種はそれほど普及していない。そこで2011年6月22日、ACIPは、ワクチン未接種の妊婦に対してTdap接種勧告を新たに作成し、Cocooningプログラムや特別な状況下における接種勧告を更新した。

最新勧告によると、Tdap未接種の妊婦は、妊娠後期か中期の後半(妊娠20週以降)にTdapを接種すべきである。妊娠中に接種できなければ、出産後すぐに接種すべきである。また、生後12カ月未満の乳児と密接に接触する、あるいは密接な接触が予測されるTdap接種歴の無い青少年や成人(親、兄弟、祖父母、保育士、医療従事者など)は、Tdapを少なくとも接触2週間前には接種すべきである。特別な状況として、Tdap接種歴が無い妊婦で、Tdの追加接種が必要な場合(接種後10年以上経っている場合)や、創傷の治療としてT含有ワクチンが必要な場合(最後のTd接種から5年以上経過している場合)には、Tdapを接種するべきである。破傷風ワクチン未接種の妊婦は、Td含有ワクチンを3回(0週、4週後、6〜12カ月後)接種すべきである。3回のうち1回はTdapを接種し、妊娠後期か中期後半(妊娠20週以降)が望ましい。

(CDC, MMWR, 60, No.41, 1424-1426, 2011)

今月の表紙へ戻る


IASRのホームページに戻る
Return to the IASR HomePage(English)



ホームへ戻る