堺市インフルエンザ定点医療機関において、2011年9月30日に採取された検体からインフルエンザウイルスが分離された。当市において、2011/12シーズンでは初めての分離例となり、インフルエンザウイルスB型山形系統株であった。
9月30日(第39週)に堺市東区インフルエンザ定点医療機関において、39℃の発熱、風邪様症状を訴えた15歳女子高校生から採取された鼻汁と咽頭ぬぐい液の混合検体から、リアルタイムRT-PCR法にてB型ウイルス遺伝子が検出された。ウイルス分離はMDCK細胞を用い、検体接種3日目からCPEが観察された。0.75%ヒトO型赤血球を用いた赤血球凝集(HA)試験では128倍を示した。赤血球凝集抑制(HI)試験による型別同定は、国立感染症研究所より配布された2010/11シーズン用インフルエンザウイルス同定キットを用いた。分離株は抗B/Bangladesh/3333/2007血清(ホモ価2,560)に対しHI価320、抗B/Brisbane/60/2008血清(ホモ価5,120)に対してHI価10を示し、分離株は山形系統のB型と判定された。
また、西区インフルエンザ定点医療機関から10月17日(第42週)に採取された1歳5カ月女児の鼻汁と咽頭ぬぐい液の混合検体、さらに20日(第42週)に採取された7歳10カ月男児の鼻汁から、同様にインフルエンザウイルス分離がなされ、2011/12シーズン用に同研究所より送付されたキットによるHI試験の結果、分離された2株は同じ値を示し、抗B/Bangladesh/3333/2007血清(ホモ価2,560)に対しHI価640、抗A/California/7/2009血清(ホモ価640)、抗A/Victoria/210/2009血清(ホモ価1,280)、抗B/Brisbane/60/2008血清(ホモ価2,560)に対してはいずれもHI価<10であり、山形系統のB型と判定された。
第39週と第42週にインフルエンザB型山形系統株が相次いで分離され、堺市感染症情報センターから医師会へ情報提供がなされた。2010/11シーズンのB型検出状況ではVictoria系統が優勢であったが、今シーズンは山形系統が立ち上がりをみせた。今後のインフルエンザウイルス流行状況に注意が必要である。
堺市衛生研究所
内野清子 三好龍也 西口智子 岡山文香 吉田永祥 田中智之
堺市感染症情報センター
沼田富三