2011年の春から夏にかけて、LondonとGreater Manchesterで細菌性赤痢国内感染症例の増加がみられ、主にMSM(mem who have sex with men)間の感染が占めていることが地域の調査により示唆されていた。
10月に、Health Protection Agencyによるアウトブレイクコントロールチーム(OCT)が組織され全国的な強化サーベイランスが行われ、2011年9月1日〜12月31日の間の細菌性赤痢検査確定症例すべてについて追加情報が収集されている。また、OCTは2001〜2011年のShigella flexneri の検査報告について見直しを行った。その結果、旅行歴が無い・あるいは不明の症例が2010年から急激に増加していることが明らかになった。
9月1日以降に報告された細菌性赤痢は118例であり、このうち27例は旅行歴の無い国内感染症例であった。居住地域はLondon(8例)、North West(5例)、North East(4例)、Wales (3例)、YorkshireおよびHumberside(3例)、South East(3例)、England東部(1例)に分布していた。
9月1日以降の国内感染症例では、男性が多く(20/27)、男性のうち11例はMSM、3例は性的指向についての情報提供を拒否し、残りの6例はMSMではない、もしくは16歳未満であった。年齢は3〜56歳(平均25歳、中央値28歳)で、MSMでは年齢が高かった(25〜54歳、平均40歳、中央値34歳)。
S. flexneri の血清型は27例すべてで判明しており、10例は3aであった。
強化サーベイランスは12月31日まで継続される予定である。MSMのS. flexneri の症例が相当の割合を占めるため、MSMにおける感染のリスク因子や曝露についての追加的な調査が行われる予定である。
(Health Protection Report, 5, No.48, 2011)