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Vol.2 (1981/8[018])

<国内情報>
1981年6〜7月岡山県で発生した無菌性髄膜炎


岡山県真庭郡川上村および八束村(本県最北部で鳥取県境に位置し,鳥取県中部地方の経済圏に入る)で6月下旬から無菌性髄膜炎が多発し,7月25日現在で患者31名(保育園児4,小学生16,中学生2,高校生4,一般5)の発生があった。主要症状は発熱,頭痛,はきけである。同患者及び頭痛を主徴とする患者18名(咽頭ぬぐい液16,便1,リコール2)からウイルス分離検査をおこなったところ,3名(咽頭ぬぐい液2,便1)からEchoウイルスを,2名(いずれも咽頭ぬぐい液)からHSVを分離した。Echoウイルス分離株はMK細胞(4−7代),GMK細胞(上皮様株化細胞)で増殖するが,CPEの進行は比較的緩慢である。ヒト胎児皮膚細胞(上皮様株化細胞)ではCPEの発現は軽微で,cell sheet全体の剥離脱落に至らない。Schmidt pool血清(20u)のNo.2,8,11でウイルスの増殖を不完全に抑制し,特に,8ではbreak throughが強い。Echo−14型または18型の可能性が強く,現在予研に同定依頼中であり,当センターでも型別を急いでいる。

岡山県感染症情報システムによると,県南を含む他の地域での発生は前年度とあまりかわらず,散発的であり,本症の流行は現在のところ上述の地域に限局しているようである。



岡山県環境保健センター 上羽 修





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