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厚生省の伝染病流行予測調査の一環として行っている東京都内在住小児のジフテリア抗体保有状況調査成績では,0〜2歳児についてみると1975年の抗体保有率は85%であったが,1980年には約20%に減少している。このように,0〜2歳児のジフテリア抗体保有率が著しく低下したことにより,これらの年令層における感染発症の危険性が危惧されるところである。
本年9月に,多摩地区在住の1歳6ヵ月の幼児が咳嗽発作,喘鳴,発熱で発症し,当初はカゼの疑いで通院加療中であったが,第6病日に突然呼吸困難になって,某病院に救急入院した。重篤であったため気管切開などの治療(抗毒素血清を使用しなかった)を行い,幸いにも一命をとりとめ軽快退院したが,入院時に採取した咽頭偽膜からジフテリア菌が検出された。
ただちに,防疫対策として患者の家族等関係者に対する保菌者検索を行ったが,ジフテリア菌は検出されなかった。
現在,東京都立衛生研究所で患者から検出されたジフテリア菌の毒素産生検査及び関係者のジフテリア抗体価検査を行っている。
なお,東京都内におけるジフテリア患者発生の届出は毎年数件あるが,10年以上菌が検出されていない。
東京都防疫課
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