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Vol.2 (1981/11[021])

<外国情報>
1980年度におけるヒトのペスト


1980年度においては505のペスト症例とそれによる56の死亡例がWHOに報告されている。ちなみに,1979年度においてはそれぞれ881と30であった。

アフリカ地区:

症例数80,死者20であり,アンゴラ,ケニア,マダガスカル,タンザニア等から報告されている。特にアンゴラ(Angola)では21発症例と4死亡例がBenguela郡のBacoioから報告され,1975年以来の最初の例となった。3月,ケニアのナイロビ地区では5例の発症があり,うち2例は死亡した。タンザニア共和国のTanga地区では腺ペストの流行があり,44例が発症し,うち9例が死亡した。これはこの地区でのはじめての集発例であった。マダガスカルでは,Antananarivo郡から8名発症し,うち3名が死亡し,Fianarantsoaから2名発症し,2名とも死亡した。

アメリカ地区(北米・南米):

ペストの発症はアメリカ地区では例年のごとく今年度も報告され,特に南米においては7名の死者を含む142例が報告され,前年度のそれぞれ2名,23名と大きなひらきがあった。この罹患率の上昇はブラジルにおける98名の集団発生(死者は0)によるものであった。北東部の諸州(Ceara, Bahia, Pernambuco)がもっとも顕著であった。なお,9月から11月にかけて,2名の死者を含む23名の患者がボリビアのMohimaとCulataから報告された。これらの地区ではPulex irritansが濃厚に発見されている。

北米では合衆国の3州(ニューメキシコ,カリフォルニア,ネバダ)から計18例が報告され,5名が死亡している。これらのうち13例は5月から9月にかけて,ニューメキシコの6つの郡で発生している。

アジア:

1979年度の387症例,16死亡例とくらべて1980年度はそれぞれ283例と29例で罹患率は減少した。特にベトナムでは5例の死者を含む180の発症数で,1979年度の306(8例の死者)にくらべて大巾の減少である。中央ベトナム,南ベトナム,そしてTay-Nguyen平原などが前年度にひきつづいて多発地区である。しかし,1980年度の後半期のみにかぎってみれば,37名(死者1人)が報告されたにすぎない。これらの感染源地区はひきつづき衛生当局の関心をひいている。ビルマからは前年度と同数の患者が報告された。しかし,ペストはその活動がおとろえているらしく,9月から12月の乾期にはShanとKawthoolai州から19例が報告されたにすぎない。

(WHO,WER,56,No.35,273,1981)






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