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1981/82インフルエンザシーズンは全体として低調であった。最近4シーズンの間,A(H3N2),A(H1N1)およびB型が報告されている。しかし同時流行は,A型の2つのサブタイプ間の場合はほとんどなく,大部分がA(H3N2)とBであった。この2〜3年,地域あるいは国ごとに流行状況に差がみられる。これは,すばやく全世界に流行するような新型が現れないからだろう。
今季,B型が最も広範に流行した。最大は日本で,オーストラリア,英国でもA(H3N2)と同時にしばしば検出された。米国では局地的流行の主な原因であった。
A(H3N2)はオーストラリア,英国にかなり多く,ヨーロッパ,アジアでもある程度流行した。全体として1981/82シーズン後半で最もよく分離された型である。
連続4季にわたって,A(H1N1)はA(H3N2)と同時にみられた。全体では少なかったが,米国では分離数の25%を占め,東ヨーロッパでは少数の国で最も多く分離された。
WHO Collaborating Centres for Reference and Research on Influenzaでは各国のNational Institutions for Influenzaからの1700株が調べられた。送付株数は59%がB型,29%がA(H3N2),12%がA(H1N1)であった。今季に重大な抗原変異はみられていない。ただし,ある地域のA(H3N2)株はfurther variantで,この型の変異の巾が広がっていることを示した。
フェレット抗血清を用いたHI試験でBはとくにすべてB/シンガポール/222/79と類似だった。しかし,多くの分離株が血清とよく反応せず同定できなかったが,これは抗原変異以外の原因と考えられる。
A(H3N2)はある株はA/バンコク/1/79およびA/テキサス/1/77の血清とHIで同様によく反応した。ある株はこのどちらかによりよく反応し,少数はA/バンコク/2/79バリアントによりよく反応した。A/上海/31/81類似株は1982年にはほとんど分離されず,又,A/バンコク/1/79で抑えられにくい株がみられているが,この重要性はわからない。A(H1N1)はA/ブラジル/11/78型が完全にA/イングランド/333/80型あるいはA/インド/6263/80に入れかわった。
(WHO,WER,57,50,389,1982)
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