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Vol.8 (1987/5[087])

<国内情報>
AIDS情報


保健医療局感染症対策室 昭和62年4月23日



エイズサーベイランス委員会検討結果について



 1.本日のエイズサーベイランス委員会において,エイズが疑われるとして報告された症例について検討した結果,新たに2名のエイズ患者を確認した。2名の患者は,すべて凝固因子製剤にかかわる者であった。

 2.前回(3月19日)までのエイズサーベイランス委員会で確認された36例とあわせて,わが国でのエイズ患者数は38例となった。その内訳は下記のとおり。



保健医療局感染症対策室長 昭和62年4月20日



AIDSサーベイランス情報の還元・公表の方法について

1.患者情報

 (1) 個別症例:原則として次の事項について公表する。@報告県,A国籍(日本人,外国人の別),B年齢,C職業(個人が特定されるおそれのある場合は公表しないこともある),D性別,E危険因子(推定),F主要な臨床所見,G現在の状態(入院,通院,死亡の別),H感染時期(ただし公衆衛生対策上公表することが望ましい場合)

 *凝固因子製剤に係る症例については,従来どおり発生した旨だけ発表する。

 (2) 累計情報:危険因子別・性別患者数および死亡数について従来どおり公表する。

 2.HIV感染者情報(患者を除く)

 (1) 個別症例:原則として公表しない

 (2) 定期的集計結果情報

ア. 原則として次の事項別の感染者報告数を公表する。@年齢区分別,A性別,B危険因子別(推定)

イ. 第1回目は3月末までの集計結果について,以後は当面2ヶ月ごとに集計し,公表する。

ウ.各都道府県衛生主管部(局)には,全国集計のほか,当該都道府県分の集計結果を還元する。



厚生省医療保健医療局長 昭和62年1月28日



AIDS調査実施要綱

 1. 調査目的

本調査は,我が国における後天性免疫不全症候群(AIDS)の患者および抗HIV抗体陽性者の発生等に関する情報を医療機関の協力を得て的確かつ迅速に把握することにより,その流行防止に資することを目的とする。

 2.調査組織

 (1) 本調査は,厚生省保健医療局が都道府県および都道府県の依頼した医療機関(原則として,すべての国立病院,すべての公的総合病院,その他都道府県が必要と認める病院および診療所(保健所,性病予防法第16条の病院および診療所を含む)を対象とする。以下「協力医療機関」という)の協力を得て実施する。

都道府県は,協力医療機関の名称および所在市町村名を厚生省保健医療局結核難病感染症課感染症対策室あて連絡するものとする。

 (2) 本調査の的確な運用を図るため,厚生省保健医療局に内科学,小児科学,感染症学,疫学等の専門家からなるAIDSサーベイランス委員会を設置する。

 3.調査対象者

 本調査の対象は,AIDS患者およびAIDSの疑いのある者並びに無症候性キャリアとする。

 AIDS患者およびAIDSの疑いのある者とは,抗HIV抗体陽性者のうち無症候性キャリア以外の者をいい,無症候性キャリアとは,抗HIV抗体陽性者であってAIDSを疑う臨床症状を認めないものをいう。AIDSの診断については,「AIDSの臨床診断の手引き」を参考とする。

 4.調査対象期間

 この実施要綱に基づく調査は,昭和62年2月1日から実施する。ただし,調査開始前の調査対象者についても,極力把握を図るものとする。

 5.調査項目

 (1) AIDS患者およびAIDSの疑いのある者については「AIDS患者調査票」に基づき,患者に関する基本情報,AIDSに最も頻発すると言われる特異的疾患/日和見感染症,AIDSにしばしば随伴すると言われる非特異的疾患,検査成績等の調査項目を個人別に調査する。

 (2) 無症候性キャリアについては,「無症候性キャリア調査票」に基づき,抗体陽性者に関する基本情報,感染経路,臨床症状および検査方法の調査項目を個人別に調査する。 6.調査方法

 (1) AIDS患者およびAIDSの疑いのある者の実態調査

(ア) 都道府県は,あらかじめ協力医療機関に「AIDS患者調査票」および「AIDS臨床診断の手引き」を配布する。

(イ) 協力医療機関は,調査対象者を診察したときは,「AIDS患者調査票」に所要事項を記入の上,都道府県に送付し,都道府県は当該「AIDS患者調査票」を速やかに厚生省に送付する。

 (ウ) AIDSサーベイランス委員会は,厚生省から提示された「AIDS患者調査票」の記載内容を検討し,当該症例に係る2次感染防止等の措置について厚生省に意見を述べる。

 (エ) 厚生省は,AIDSサーベイランス委員会の意見を下に検討結果を都道府県へ通知し,都道府県は,これを報告のあった協力医療機関に対し通知する。

 (オ) なお,協力医療機関から報告のあった症例のうち経過観察を要するものについては,AIDSサーベイランス委員会の求めにより,協力医療機関および都道府県の協力の下に,報告後の経過に関する追跡調査を行う。

(2) 無症候性キャリアの実態調査

(ア) 都道府県は,あらかじめ協力医療機関に「無症候性キャリア調査票」を配布する。

(イ) 協力医療機関は,調査対象者を確認したときは,「無症候性キャリア調査票」に所要事項を記入し,都道府県を経由しまたは直接,厚生省のAIDSサーベイランス委員会あて送付する。ただし,協力医療機関が厚生省の研究班に報告を行った無症候性キャリア(血友病関係)については,AIDSサーベイランス委員会へのこの調査票の送付を要しない。

(ウ) AIDSサーベイランス委員会は,協力医療機関から送付された「無症候性キャリア調査票」の記載内容を検討し,無症候性キャリアの発生状況等を集計する。

(エ) 厚生省は,AIDSサーベイランス委員会の集計結果(月単位の都道府県別無症候性キャリア数)を都道府県および協力医療機関に提供する。

(3) AIDS患者およびAIDSの疑いのある者並びに無症候性キャリアに関する疫学的分析。

AIDSサーベイランス委員会は,上記(1)および(2)の調査により報告のあった情報に基づき,おおむね6箇月ごとに疫学的分析およびそのとりまとめを行い,その結果を厚生省を通じて都道府県および協力医療機関に提供する。

 7.その他

 (1) 本調査の実施に当たっては,調査対象者およびその家族に関する秘密の保持について格段の配慮を払うものとする。

(2) 都道府県は,本調査により把握されたAIDS患者および抗HIV抗体陽性者への保健指導の適切な実施に資するため,あらかじめ協力医療機関に「AIDSの保健指導に際しての留意点」を配布するものとする。

(3) 都道府県は,本調査の実施に当たり,政令市(区)とも必要な連携をとるようにすること。



危険因子別・性別患者発生数および死亡者数
HIV感染者情報 昭和62年3月31日現在(AIDS患者を除く報告数の集計)





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