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Vol.8 (1987/5[087])

<外国情報>
ツラレミヤ(野兎病)−米国


 1985年12月3日,ニュージャージーで67歳の婦人がツラレミヤで死亡した。彼女は脱水症状と敗血症の合併に続く代謝性アシドーシスで7日前に入院した。入院時,右手の第一指に難治性のただれがあった。初期はゲンタマイシンとセファゾリンが,後に糖尿病に対してインシュリンが投与された。3日後,ストレプトマイシンに変更されたが,全身性血管内凝固,呼吸不全および血圧下降が進展して死亡した。

 問診では,11月9日に18歳の隣人が自宅の裏で射殺した2羽のウサギを患者の夫が皮をはいで冷凍した。その夏,家の周囲で数羽のウサギが死んでいたが,畑に散布された殺虫剤によるものだと思っていた。2羽中1羽には脱毛が見られた。

 2日後に,若者は手に潰瘍性病変,腋窩リンパ節炎,発熱を発症した。23日にウサギを受けとった2人の隣人が菌血症と手の病変で入院した。26日に病院からの支持で若者にはストレプトマイシン治療が開始され,速やかに回復した。

患者の11月23日野ツラレミヤ抗体価は20以下で,10日後160に上がった。若者は29日に1,280,その7日後の抗体価は2,560と報告された。夫は12月3日320,14日後1,280に上がった。

 2羽のウサギはCDCに送られ,骨髄からFarncisella tularensisが培養された。

編者註:この流行の前5年間に6例のツラレミヤがニュージャージーで報告されている。それ以前の5年間にはツラレミヤによる死亡はこの州では報告されていない。最近は吸血節足動物の関与が増えているが,依然としてウサギが主要感染源である。

(CDC,MMWR,35,48,1986)






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