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Vol.9 (1988/1[095])

<外国情報>
カキ関連A型肝炎−シンガポール


 1987年9月末,合計30例のA型肝炎患者が肝機能検査とIgM抗HAVで確認された。全員が同一店のカキオムレツを食べた。これは6年間この店の人気メニューだった。カキは東南アジアから輸入されたものである。当局はマスメディアを通して注意と届出をうながし,該当者は抗体検査をうけるよう手配した。

 患者30例はすべてChinese,半数以上が25〜34歳,男1.5:女1,外来4名以外は入院,後遺症はなかった。潜伏期平均28.8日,中間値30日(18〜35日),18人の無症状接触者中2がIgM抗HAV陽性(最近感染),12はIgG抗HAV陽性(過去の感染)。調理人や食品業者にIgM抗HAV陽性者はいなかった。

A型肝炎は潜伏期が長く食物が多種にわたるから原因追跡はむずかしい。本例では多くが職場,友人,家族だったことが幸いした。東南アジア産カキは1980年に312例の患者発生に関連した。本発生後,輸入カキの細菌基準が定められた。血清疫学ではシンガポールの15〜24歳群は84.5%がA型肝炎ウイルスに感受性である。



(Singapore Epidemiological News Bulletin 8,67,1987)






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