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1988年7月,メキシコ旅行から帰国した7歳の子供からShigella dysenteriae 1(Sd1)が分離されたが,米国ではその後12月までに42例の分離が報告された。これは過去10年の年平均分離数6の7倍である。42例中36例はメキシコからの帰国者であった。30名(70%)が入院し,3名に血尿がみられたが死亡例はなかった。患者に面接調査を行ったが,共通原因は不明であった。
志賀赤痢菌の流行は1969年に中央アメリカで起こったのが最後で(50万人が罹患,2万人が死亡),その後の発生はまれであった。当局は分離株の送付を呼びかけるなど,今回の発生を機に疫学情報の入手に努めている。また,分離株については薬剤耐性パターン,毒素産生遺伝子の同定など前回流行株との比較をおこなっている。
(WHO,WER,64,No.45,1989)
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