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Vol.11 (1990/3[121])

<外国情報>
米大陸におけるデング出血熱(DHF)の増加,1980〜87


 DHFが疑われた報告例は以前は4事例のみだったが,1981年のキューバの流行以後は1983年を除き毎年報告されている。9地域がDHFを報告,アルバ,ブラジル,コロンビア,ニカラグアでは大人の患者で死亡例も含まれる。プエルトリコは大部分15歳以下,セント・ルシアの1例は6歳児である。分離ウイルスは1型が多いが,2型および4型も確認されている。

 DHFの病因論は未解明である。単核食細胞中のデングウイルス増殖における抗体依存性促進作用,ウイルス抗原のエピトープの変異,ウイルスの病原性の変異などが感染の重症化と関連する要因として考えられているが,DHFの地域差は説明されていない。米大陸の多くの地域では数十年デングウイルスの流行がなかった後に1型が流行した。ここに2型が入るとキューバと全く同じ状況となり,DHFが発生することになる。生ワクチン(1,2,4型)または遺伝子工学によるワクチンが試みられつつあるが,一般使用はなお数年先であるから,現状では媒介蚊対策が基本的防疫手段である。

(WHO,WER,65,No.3,1990)






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