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T.エイズ患者及びHIV感染者の状況(法施行前・後の累計)
1.現状(表1略・HIV感染者の届出状況参照)
報告された累計の患者数は543人で,その感染原因別の内訳は,異性間性的接触53人,男性同性愛70人,母子感染2人,凝固因子製剤363人,その他・不明55人である。
累計のHIV感染者数は2,551人で,同じく内訳は,異性間性的接触435人,男性同性愛155人,母子感染3人,凝固因子製剤1,685人,その他・不明273人である。
2.年次推移(表2および図1〜3)
(1) 平成4年中に届け出られたエイズ患者及びHIV感染者(以下「患者・感染者」という。)は493人であった。これは前年の238人の約2.1倍であり,増加傾向となっている。
(2) 性別では,男性,女性ともに増加傾向にあるが,男性は前年の116人から平成4年の202人へ約1.7倍増,女性は前年の122人から平成4年の291人へ約2.4倍増,特に女性が大幅に増加している。
(3) 国籍別では,日本人,外国人ともに増加傾向にあるが,外国人女性の届出が前年の105人から平成4年の274人の約2.6倍と最も増加傾向が著しく,ついで,日本人男性の前年の76人から平成4年の144人への約1.9倍増となっている。
(4) 感染原因別では,男性同性愛によるものは若干増加の傾向となっているが,異性間性的接触は男女とも増加傾向がみられ,異性間性的接触が最近の主たる感染経路となっている。
3.報告地域(表3略・HIV感染者の届出状況参照)
患者・感染者(法施行前を含む累計)を都道府県別にみると,ほぼ全国から報告されているが,そのうち,66.2%が関東地方からの報告となっている。
U.法施行後の患者・感染者の状況
1.性別構成(表4)
「後天性免疫不全症候群の予防に関する法律」(エイズ予防法,以下「法」という。)施行後(平成元年2月17日〜)から平成4年末までに届け出られた患者・感染者907人中,男性は446人(49.2%),女性は461人(50.8%)である。このうち,日本人では370人中,男性309人(83.5%),女性61人(16.5%)と男性が多いが,これに対して,外国人では537人中,男性137人(25.5%),女性400人(74.5%)と,女性の割合が高くなっている。
2.年齢構成(表5)
法施行後に届け出られた患者・感染者の年齢構成をみると,20歳代と30歳代で全体の72.6%を占めている。性別でみると,男性のピークが30歳代で35.0%を占め,20歳代及び40歳代が各々27.6%及び24.2%を占めている。これに対して,女性は20歳代が75.5%を占めており,特に外国人女性の約8割が20歳代であることから,女性の方がより若い世代に感染が集中しているといえる。
3.感染原因・感染地域(表6〜8)
法施行後に届け出られた患者・感染者を感染原因別にみると,異性間性的接触が最も多く全体の48.6%を占め,ついで男性同性愛が16.9%となっている。
これを性・国籍別にみると,日本人男性では,患者・感染者309人のうち,異性間性的接触による感染が133人(43.0%),男性同性愛が119人(38.5%)であり,外国人男性では患者・感染者137人のうち異性間性的接触が37人(27.0%),男性同性愛が34人(24.8%)となっている。男性においては,日本人,外国人ともに異性間性的接触による感染が最も多い。女性においても,異性間性的接触によるものが,日本人の患者・感染者61人のうち47人(77.0%),外国人400人のうち224人(56.0%)と感染原因のうちで最も多い。
異性間性的接触による感染について感染地域をみると,日本人では男性,女性とも国内での感染の方が海外での感染よりも多く,特に平成4年において日本人男性の国内感染の増加が大きい。外国人では海外での感染が多い。男性同性愛の感染地域については,日本人では近年,国内における感染が増加している。
厚生省結核・感染症対策室
表2.患者・感染者数の性・感染原因別年次推移
図1.患者・感染者報告数の年次推移
図2.患者・感染者の年次推移 国籍・性別
図3.患者・感染者の年次推移 感染原因別
表4.患者・感染者の国籍・性別報告数(法施行後累計)
表5.患者・感染者の性・年齢別報告数(法施行後累計)
表6.患者・感染者の性・国籍・感染原因別報告数(法施行後累計)
表7.異性間性的接触における患者・感染者の性,国籍,感染地域別報告数(法施行後累計)
表8.男性同性愛における患者・感染者の国籍,感染地域別報告数(法施行後累計)
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