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Vol.14 (1993/4[158])

<外国情報>
拘置所でのA型肝炎の発生−カナダ


 1992年の6月から9月にかけて,カナダ,オンタリオ州の拘置所で6例のA型肝炎が発生した。このうち,拘置所内で最初の患者から汚染食物により感染したと考えられたのは1例で,2例は拘置所内,拘置所外どちらの感染の可能性も考えられ,残りは拘置所外で感染した可能性が強かった。拘置所の食物取り扱い状況の調査結果は陰性であった。対策として,拘置所の収容者,スタッフに免疫グロブリンを投与した。拘置所外で感染した可能性の強い5名は全員,コカインかマリファナの服用経験があり,男性同性愛行動は否定した。以上より,今回の流行は,拘置所内の共通汚染源から発生したものではなく,A型肝炎に罹患し,かつ拘置所に収監されるような行動を取る集団におけるA型肝炎の発生率を反映したものである。A型肝炎とドラッグの関係は,ドラッグの製造販売過程での糞便による汚染,ドラッグ常用者間の性交渉,注射針の共有,衛生環境の悪さ等が原因と考えられている。

(Canada CDR,19−3,17,1993)






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