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A型肝炎(HA)の水または食物に起因する感染報告は多くないが,これは疑いなく過小報告である。途上国(幼時の無症状感染が主流)でも衛生状態の急速な改善によって成人の感受性者が増加している。食物由来感染では無症状または発症前の食物取り扱い者(多くが手洗い不足)が感染源となることがしられており,該当者が取り扱ったサラダ,サンドイッチ,冷肉,フルーツ,加熱後加工品などが報告されている。また,貝類や野菜(人糞で汚染された)など食品自体が問題の場合がある。WHOは1988年に食物由来HA感染の防止策としてワクチン利用の可能性を述べた。今回,1992年10月の非公式肝炎対策会議でHAワクチンの利用が強調された。費用効果の検討が不十分であることが指摘されているが,ワクチンはすでに一部で,さらに近日中に多くの国で入手可能となるので,公衆衛生当局は食品関係者および途上国への旅行者にこの情報を知らせるべきだろう。
(WHO,WER,68,No.5,25,1993)
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