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全国地方衛生研究所より送付された「つつが虫病様患者調査票」をもとに,1992年の全国におけるつつが虫病の発生状況について報告する。
1)つつが虫病の月別,県別発生状況
つつが虫病患者調査票は22都県,1指定都市から合計618件報告された(表1)。このうち,つつが虫病陽性は457件であった(表2)。各地方衛生研究所からの報告数には自県での発生例と少数ではあるが他県での発生例も含まれていた。すなわち,秋田で青森,山形で千葉,茨城で東京,東京で静岡,神奈川で長野,山口で鹿児島,福岡市で熊本の発生を各1例ずつ報告している。さらに,群馬で埼玉,神奈川で静岡の各2例,宮崎で鹿児島の4例を報告している。これらをもとに1992年のつつが虫病患者を月別,発生県別にまとめた。患者は25都県でみられ,1991年の29都県,580例に比べると減少している。県別発生状況についてみると,秋田,千葉,神奈川,宮崎などで多発している。月別では秋田などの東北では5月をピークとした春型の発生が,関東以西では11月をピークとした秋〜冬型の発生がみられ,全体としてみると,5月の小さいピークと11月の大きいピークの2峰性のパターンを示していて,これらの傾向は例年と同じである。
2)感染推定場所・作業内容
農地,山地における農作業,山作業の人々がつつが虫病のハイリスク群であることは昨年と同じである(表3)。
3)つつが虫病患者の性別,年齢群別分布
年齢群別の分布では高年齢群に偏っているのがわかる(表4)。総患者数中に占める60歳以上の患者数の割合(%)は49%となった。ちなみに,厚生省の伝染病統計をもとに同様に計算すると,1985年は34%,1987は39%,1989年は42%,1991年は51%となり,60歳以上の患者数の割合が年々大きくなっていることがわかる。
4)検査法について
つつが虫病患者457例のうち血清診断により確定されたものは431例で,残りの26例は臨床診断・届出によるものである。血清検査法は間接蛍光抗体法(IF)と免疫ペルオキシダーゼ法(IP)が主体である。補体結合反応(CF)やワイル・フェリックス反応(WF)も少数実施されているが,それは主として民間の検査機関によるものであり,いずれの場合もIFまたはIPと併用されている(表5)。
(事務局:予研感染症疫学部 坪井義昌)
衛生微生物技術協議会検査情報委員会 つつが虫病小委員会
表1.1992年つつが虫病様患者調査票報告数(1993年8月末現在)
表2.1992年つつが虫病患者(1993年8月末現在)−月別・県別−
表3.1992年つつが虫病患者(1993年8月末現在)−感染推定場所・作業内容−
表4.1992年つつが虫病患者(1993年8月末現在)−性別・年齢群別−
表5.1992年つつが虫病様患者検査成績(1993年8月末現在)
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