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Vol.16 (1995/8[186])

<国内情報>
コクサッキーウイルスA16型による手足口病の流行−愛媛県


 愛媛県では最近の手足口病から分離されるウイルスはほとんどすべてコクサッキーウイルスA16型(CA16)であり,今夏の手足口病の流行はCA16が原因ウイルスと考えられている。本県の感染症サーベイランス情報によれば,1994年10月〜12月に定点当たりの手足口病患者数が1人/週をわずかに越える報告があり,その頃に小流行があったことがわかる。その後1995年5月から患者数が増加し始め,6月下旬には患者数7人/週/定点を記録している。手足口病患者からのウイルス分離状況を表に示したが,1994年10月〜1995年2月にかけての被検患者26名のうちCA16が19名から分離され,エンテロウイルス71型(EV71)は1名のみであった。1995年5月以後は,19名の患者のうち11名からCA16だけが分離されている。材料別には咽頭ぬぐい液から37例中15株,水疱内容物からは29例中21株のCA16が分離された。

 CA16やEV71は難中和性を示すことが多いため,手足口病からの分離株の同定はダイフロン1回処理後プラック法で行った。37℃で1時間中和した抗血清とウイルス液の混液を,24ウェルプレートの細胞に接種,吸着後2%メチルセルロース重層液(2%FCS加MEM)を重層して,33℃,CO2フラン器で培養した。2〜3日の培養後倒立顕微鏡での観察で容易に判定できるので,細胞を染色する必要はなかった。本年の分離株は,抗CA16標準株(G-10)ウサギ血清に対し,ホモ抗体価(5,120倍)の1/4か1/8程度の中和抗体価を示した。また,1975年,82年の分離株の免疫血清に対しても同様にホモ価の約1/4に低下しており,本年の流行株の抗原性が若干変異している可能性がある。さらに,本年5月以降のCA16はFL細胞で最もよく分離されるようになり,逆にGMKやVero細胞での分離率が低くなった。細胞への感染性に変化がおこっているかもしれない。



愛媛県立衛生研究所
大瀬戸光明 高橋一博 呼石弘子


表 手足口病患者からのウイルス分離状況





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