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1994年10〜11月に3例(アラバマ,テネシー,テキサス州で各1例)の狂犬病による死亡例が報告された。
アラバマ州:24歳女性,妊娠5〜6週。肩甲骨下痛,嘔気,嘔吐,左腕麻痺の初期症状の後,左胸部痛,激しい嘔吐を伴う発作,呼吸困難,流産,重篤な横紋筋融解および急性の腎不全を起こした。鼻腔,性器材料培養でカンジダ陽性,コクサッキーB6およびB1抗体陽性,他のコクサッキーウイルスは陰性。DICおよび多臓器不全を起こして死亡。組織から狂犬病ウイルスを検出。DNA解析によりMexican free-tailed bat株の変異種とされた。患者は作業所で煙突のコウモリを処分していた。州公衆衛生担当官が作業所付近のコウモリを捕獲,検査した結果,狂犬病陽性であった。関係者99名に狂犬病暴露後の予防処置を行った。
テネシー州:42歳,女性。初期に上背部痛,左胸部痛および左腕麻痺があり,胸膜炎を伴う気管支炎と診断された。その後,胸部の部分性知覚喪失,不安,振顫,腹部痙攣,頭痛,下背部痛,発熱および悪寒,間代性筋痙攣があり無菌性髄膜炎と診断された。さらに,呼吸停止を伴う強直性の痙攣,角膜反射消失がみられた後死亡。脳材料からウイルス検出。DNA解析によりsilver-haired bat株の変異種と同定された。動物に咬まれたことや国外への旅行歴はない。多数の動物を飼育していたが,7/18のイヌ,2/5のネコおよび3頭のウマは狂犬病のワクチンを接種していなかった。関係者47名に狂犬病暴露後の予防処置を行った。
テキサス州:14歳,男性。のどの痛みと呼吸困難などの症状に続き,挙動不審,意識障害を伴わない発作,急性の中枢神経系荒廃,過呼吸,幻覚がみられた。その後,発熱,心悸亢進,高血圧,重篤な呼吸困難を呈し,髄膜炎と診断されたが,脳炎,脳腫瘍も疑われた。さらに,広範囲な横紋筋融解,透析を必要とする腎不全がみられた後死亡。血清および髄液の狂犬病抗体は陰性,皮膚材料および唾液からウイルス検出。DNA解析によりTexaxs coyote/border dogs株の変異種と同定された。患者は狂犬病に暴露された経験はないが,飼育していた3週齢の子犬が下痢症状で死亡している。母犬はワクチン接種を受けており,同時に生まれた子犬4匹に異常はない。関係者54名に狂犬病暴露後の予防処置を行った。
1994年に6例の狂犬病死亡例が出た。これは1979年以来最も多い。感染源となった動物が特定できたのは1977〜94年では9/33(27%)である。1980年以降の動物が特定できなかった18例全例についてDNA解析を行った結果,10例(56%)がコウモリ,7例(39%)がイヌ(国外および米国−メキシコ国境),1例がスカンク関連株であった。
(CDC,MMWR,44,No.14,269,1995)
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