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厚生省エイズ結核感染症課
エイズサーベイランス委員会
山崎委員長コメント(平成8年5月28日)
1. 平成8年3月〜4月末までの2カ月間のエイズサーベイランス委員会への報告は患者41名(前回32名),感染者71名(前回47名)の合計112名(前回79名)であった。このうち,外国人感染者は28名,患者は10名であるが,日本人については感染者が前回より22名多い43名,患者は5名多い31名と大幅に増加している。
今回の報告数112名はエイズサーベイランス委員会が始まって以来過去最多であり,特に日本人感染者が急増したことは,新たな感染の拡大を示す事実として深刻に受け止める必要がある。
2. 今回の報告のうち日本人患者・感染者数74名もまた過去最多の報告数である。日本人患者・感染者を感染原因別にみると,男女ともに異性間の性的接触による感染報告が増加しており,日本人患者・感染者を感染地域別にみても男女ともに国内での感染報告が増加している。特に国内で感染した日本人女性の報告数は前回の4倍となった。こうしたことから,国内での異性間性的接触による感染増が今回の日本人患者・感染者数の急増の原因と考えられる。
3. 今回,エイズが発症してから初めて報告のあった症例が36あり,この数値も過去最多である。早期治療,感染の拡大の防止という点から,発症前にできるだけ早く感染者を把握することが大切で,各県とも検査の普及に更に努力してもらいたい。
4. HIV感染者の累積報告をみると,平成8年4月末現在のHIV感染者3,642人のうち,凝固因子製剤以外による感染者が1,836人と過半数を超えた。
本年3月に開催されたHIV疫学研究班によると,一般の既婚妊婦のクラミジアIgA抗体陽性率が17%,未婚妊婦が32%と高率を示す。STDの流行と共にHIVの感染拡大の増加が懸念される。
5. 今回報告されたエイズ患者の中に,1988年に輸血を受けたとする報告が1例あったが,現時点でこれが輸血によるHIV感染であると断定する科学的証拠はない。わが国では1986年11月以来全供血者のHIV抗体スクリーニングを実施しているので,本症が輸血による感染の可能性は極めて低いが,window period(感染早期の抗体陰性期)の供血者からの感染でないことを確認するために可能な限りの調査を行い,その結果を次回のサーベイランス委員会に報告する。
HIV感染者情報(平成8年3月1日〜4月末日)
エイズ患者等の届け出状況(平成8年4月末現在)
(参考)凝固因子製剤による感染を除く患者・感染者等の状況
都道府県別患者・感染者累積報告状況
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