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Vol.17 (1996/8[198])

<国内情報>
日本のエイズ患者・HIV感染者の状況(平成8年6月末日)


エイズサーベイランス委員会 山崎委員長コメント(抜粋)



 1. 今回(平成8年5月〜6月末まで)のエイズサーベイランス委員会への報告は患者38名(前回41名),感染者54名(前回71名)の合計92名(前回112名)であった。その内訳は,外国人患者が前回より2名増加しただけで,その他日本人感染者が前回よりも12名,日本人患者が5名,外国人患者が5名それぞれ減少した。

 2. 日本人患者・感染者数の感染源因および地域別の分析では,日本人女性については,6名全員が異性間の性的接触による感染であり,日本人男性では51名のうち異性間の性的接触による感染が23名,同性間の性的接触による感染が22名と性的接触による感染が主要な感染経路となっている。また,感染地域では,日本人患者・感染者57名のうち47名が国内で感染した。

 3. 厚生省HIVの疫学と対策に関する研究班の調査によると,HIV感染リスクの認識について,エイズによる健康に関する危険が日本人全体にとって「非常に大きい」または「大きい」と答えた人が73.5%いたのに対し,自分自身にとって「非常に大きい」または「大きい」と答えた人はわずか5.2%にとどまっており,エイズを自分自身にかかわる問題としてそのリスクを認識している人は依然として低いことが示唆された。

 4. 7月7日〜12日までカナダのバンクーバーで「ひとつの世界,ひとつの希望(One World, One Hope)」のテーマで第11回エイズ国際会議が開催された。今回の会議では,HIV感染症の治療では多剤併用療法が有効であることなど様々な研究成果が報告されただけでなく,「女性とエイズ」,「開発とエイズ」,「HIVとの共生」等,広い視点から有意義な意見交換がなされた。また,世界のHIV感染者は2,200万人おり,毎日新たに8,500人以上の人がHIVに感染しているとの推定が報告された。

 5. 前回のサーベイランス委員会において,HIV抗体スクリーニングを実施した後の輸血を介してHIVに感染した可能性が疑われた1例が報告されたが,その後の厚生省の調査により,当該事例は昭和63年12月に都内のある病院で輸血を受けていたことが確認された。しかし,血液センターにおいては,輸血用血液のサンプルおよびそれにかかわる記録は5年以上経過しているため保存されておらず,従って輸血との因果関係を確認することはできなかった。



厚生省エイズ結核感染症課


HIV感染者情報(平成8年5月1日〜6月末日)
エイズ患者等の届け出状況(平成8年6月末現在) 日本のエイズ患者の状況
(参考)凝固因子製剤による感染を除く患者・感染者等の状況
都道府県別患者・感染者累積報告状況





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