(掲載日 2011/7/1)
<速報>コクサッキーウイルスA6型(CA6)による手足口病の流行―島根県

島根県における2011年の手足口病の患者発生は第15週から主に西部地区において散発的に認められていたが、第20週には県内全域で患者の報告があり、定点当たりの報告患者数が1.0となった。その後、第22週には中部地区、第23週には東部地区で警報レベルの5.0以上の報告患者数となり、西部でも患者の増加が認められる()。第24週までの報告患者数は2003年のエンテロウイルス71型による大流行と同様な増加傾向を示している。患者の年齢は1〜4歳が81%と最も多く、次いで0歳12%、5〜9歳4.4%、20歳以上1.2%、10〜19歳1.0%である。

第18〜25週までに手足口病患者から35検体(咽頭ぬぐい液31、糞便3、髄液1) についてウイルス検索を実施した結果、エンテロウイルスのVP1領域を増幅するCODEHOP VP1 RT-seminested PCR法1) で24検体が陽性となった。このうち19株(咽頭ぬぐい液由来16株、糞便由来3株)についてダイレクトシークエンスにより約290塩基の塩基配列を決定し、BLAST検索をしたところ、19株はすべてGenBankに登録されているCA6と96〜98%の相同性を示し、さらに島根県で今年検出された株間の相同性も96〜100%であった。また、シークエンスでCA6が検出された検体3検体を哺乳マウスに接種したところ接種後3〜4日目に発症し、自家製抗マウス腹水を用いた中和試験でCA6と同定された。培養細胞(Vero、RDA30、FL、AG-1、HEp-2)では1検体からポリオ1型(ワクチン由来株)が分離されたのみである。

CA6はヘルパンギーナの主原因ウイルスの1つとして2、3年周期で流行を繰り返すウイルスであり、島根県においては2007年、2009年にヘルパンギーナから検出されている。手足口病からは流行初期に少数例検出されることはあるが、本年のように流行の主原因ウイルスとなったことはなく、今後の動向に注意が必要である。

 参考文献
1) Nix W.A, et al ., J Clin Microbiol 44: 2698-2704, 2006

島根県保健環境科学研究所ウイルスグループ
飯塚節子 糸川浩司 木内郁代 日野英輝


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