(掲載日 2011/11/4)
<速報> 2011/12シーズンにおけるインフルエンザウイルスAH1pdm09の初検出―埼玉県

埼玉県内において第42週に採取された散発例の検体から、2011/12シーズン初となるインフルエンザウイルスAH1pdm09を検出した。

検体提供者は40代男性で、最近の海外渡航は無く、インフルエンザワクチンは未接種であった。38.9℃の発熱を認めて10月17日にインフルエンザ定点医療機関を受診したところ、インフルエンザ迅速診断キットでA型陽性を示したため、検体(咽頭ぬぐい液)が当所へ搬入された。当所ではリアルタイムRT-PCR検査を実施してAH1pdm09遺伝子を検出した。AH3亜型HAおよびB型遺伝子は不検出であった。一方、培養細胞によるウイルス分離検査では、MDCKにおいて検体接種2日目にCPEが出現し、4日目には顕著となったが、0.5%七面鳥および0.75%モルモット赤血球に対するHA活性は認められなかった。この初代培養上清を希釈してMDCKで継代したところ、0.5%七面鳥赤血球に対して8HA、MDCK3代目では16〜32HAのウイルス液を得ることができた。このMDCK 3代目上清を用いて、2011/12シーズン用キットによりHI試験を実施した結果、A/California/07/2009抗血清(ホモ価320)に対して640を示した。A/Victoria/210/2009抗血清(ホモ価640)、B/Brisbane/60/2008(同1,280)、およびB/Bangladesh/3333/2007(同1,280)の各抗血清に対しては、HI価<10であり、分離ウイルスはAH1pdm09と判定された。

9月以降、国内ではすでにAH3亜型およびB型が検出されている。これらにAH1pdm09が加わって、昨シーズン同様に3種類のインフルエンザウイルスによる混合流行となる可能性も鑑みて、今後の各型のウイルスの動向に注意が必要である。

埼玉県衛生研究所ウイルス担当
島田慎一 鈴木典子 峯岸俊貴 篠原美千代 内田和江 富岡恭子 河橋幸恵 岸本 剛


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